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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎



額に浮かんだ汗を手の甲で拭う

ふぅーっと息を漏らすと
みくりは水の入った桶を地面に置いた

カナカナカナ……と
ヒグラシが鳴く声が
何処からかして来て

夕方になって来たので
店の前に打ち水をしようと

桶に汲んでいた水を柄杓で掬った


バシャッ

バシャ……


店の前の地面に水を撒く

その音を聞いているだけで
少しばかり涼しくなった様な
そんな気さえしてくるから 不思議だ



店の前の打ち水が済んだら
もう一杯水を汲んで来て
軒下の朝顔にも
水やりしておかないと……と

みくりが考え事をしながら

手にしていた柄杓で
更に水を掬って
地面に撒こうとした時だった


人影が視界の端に見えて 


「あっ」っと


声を思わず上げてしまった


しまった 人が居たのか


気が付くのが遅れてしまった

思いっきり水を
その人の方へ掛けてしまったわ

どうしよう?
失礼なことをしてしまったと

みくりが
どう謝罪しようかと思案していたら


あれ? 誰も…いない?
でも 確かに人影が…そこに


水を撒いた場所にあったはずの影はなく




地面が濡れているだけだった


「いない…?でも…、確かに…」

みくりが何が起こったのかわからずに
顔を上げると そこには


夏の太陽の様な
そんな
眩しいばかりの笑顔があって


「今日はもう、店は終いだっただろうか?」


その太陽の様な笑顔の人物に
声を掛けられて
いいえとみくりが首を横に振った

「いえ、まだ、残ってますので。
店の方はやってますが。
…夕方になったので店の前に打ち水を
…あの、掛かりませんでしたか?」

みくりに声を掛けられた男性は
自分の炎を模したような柄の
マントの様な羽織を翻して見せる

「俺は、この通りですが?貴方の目には…
俺の羽織が濡れている様に見えるだろうか?」

その言葉にみくりは 首を傾げた

だって さっき確かに
私が水を打った場所に


この人は立っていたのだから…


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