第75章 ふたり 一人独り 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
9月23日 AM 7:15
この前の台風の後から
一気に季節が秋へと進んで
半袖のままでは朝は肌寒いと
感じる様になっていた
肌寒さで目を醒ましたが
隣で眠っているみくりを
起こそうかもう少し寝かせてやろうか
杏寿郎は思案していた
「…う゛うぅ…っん…」
それまで穏やかな寝顔で
規則正しい寝息を立てて眠って居た
みくりが唸り声を上げて
その顔を苦しそうに顰めている
最近は うなされる回数は
同棲し始めた頃に比べて減って居たが
同棲し始めた頃は 泣きながら飛び起きたり
夜中にしている事がしばしばにあって
悪い夢を見ていたと本人は言うが
それがただの悪い夢では無い事は
杏寿郎にも何となく分かって居て
詳細が一切表沙汰にされて居ない
大学の時のある事件がきっかけだ
誰かがこの事件を覆い隠したのは確かで
はぁ…っと杏寿郎がため息をつくと
「俺が知ってる中で、そんな事を
出来そうな人物は1人しか居ないからな」
うなされているみくりの
手をギュッと握ると
それまで苦しそうにしていた
彼女の表情がフワッと緩んで
「あり…がと、…奏(かなで)さん…すぅ…」
彼女の夢に出て来る
この 奏と言う名前の人物が
誰なのか…とか言うのも
スリッ…と俺の手に
みくりが頬を擦り寄せて来て
「へへっ…、奏さん…」
その穏やかな顔を見て居ると
俺があの時 彼女に告白をした時
誰とも付き合うつもりもないし
ずっと好きなのは あの人だけだからと
そうみくりが言って居た
あの人と言うのが
このいつも夢で呼んでいる
奏さんと言う男だろうし
疑問が湧いて来る
その彼との未来を何故
彼女が望まなくなったのかとか
その彼とは 何故
別れる事になったのか…とか
俺は何も知らないままに居て
何度か聞いてみたりもしたが
その口を頑なに割る事はなかったから
話したくない話なのだろうが…
もぞっと布団の山が動いて
みくりが身体を起こすと
「んんっ?朝?…雨、降ってるの?」
「ああ、起きたか?みくり。
なぁ、そろそろ、俺に教えてくれないか?
君がずっと、夢の中で呼んでる。
その、奏さんとやらについてな」
キョトンと目を丸くさせて
みくりがこちらを見ていて