第74章 地味派手な彼女の秘密 お相手:宇髄天元 現代パロ
「…宇髄さんの、コレ…、欲しい…ッ」
そう 素直過ぎるほどに
素直にソレを強請ると
二ッと宇髄が口の端を曲げて笑って
「んじゃ、決まり」
口裏を合わせる事に合意したけど
どうするんだろう…?
と…こちらが心配していたのもつかの間で
宇髄が大音量で自分のスマートフォンの
タイマーで着信音を鳴らし始めて
掛かって来ても居ないスマートフォンを
自分の耳に当てて
居眠りをしていて
バスを降り損ねた人を演じるから
「おいっ、みくり。起きろ
駅、過ぎちまってッし!」
と言って死角に居る私の肩を
叩いて起こすふりをするから
どうやら 一緒に寝落ちをしていた
知り合いか何かの設定の様だったので
ふぁっとあくびをするフリをして
んんっと腕を伸ばして
死角から自分の存在を
運転手にアピールすると
「んーーー?もう、朝ぁ~?」
今の今まで 眠って居ましたと
言うふりをして そう言うと
宇髄がみくりの身体を
引き寄せながら立ち上がらせると
そのまま ヒラヒラと
運転手に手を振って
「あ、すいませーーん。
運転手さん、俺達、ここで降りますんで」
ドアを開いて欲しいとそう指を差して
運転席に私の肩を抱きながら
耳元辺りをその口元でくすりながら
酔ってる人みたいに身体を擦り寄せて来る
酔っ払い…のフリ…してる?
「んっ、もう、まだ…、酔ってるの?
ってきゃあ、どこ触ってんのっ」
「んー、みくりのお尻…ぃ」
バシバシと宇髄の頭をみくりが
何度も叩いて 酔っぱらいをあしらう
フリ(と言ってもお尻は現在進行形で
撫でられているんだけども)をしながら
「すいません、お世話になりましたぁ~」
運転手に頭をぺこぺこと何度も下げて
宇髄を引っ張りながらバスを降りる
『あー、ご乗車…、ありがとうございました。
またのご利用、お待ちしております』
そう運転手が戸惑いながらも
テンプレートな文言をこちらに返して来て
そのまま バスターミナルに降り立つと
スルッと宇髄がみくりの腰に
自分の腕を回して来て
グイっと身体を引き寄せられてしまう
「ね?案外、何とかなったでしょ?」
「それは、そうかも知れませんけど。
でもっ、お尻は、触らなくていいですッ」
「あっれぇ、それ?
そんな気にしちゃう感じなの?」