第74章 地味派手な彼女の秘密 お相手:宇髄天元 現代パロ
私の家には 認知症の祖母がいて
デイサービスの送迎の時間に合わせて
母の都合のつかない日は
仕事の時間は調整して貰って居るから
「すいません、お先に失礼します」
診療所を後にしてバス停へと向かう
私の勤めている診療所は
大学のすぐ近くにあって
駅からは離れている場所にあるから
駅まではバスを利用している
診療所のあるバス停の次の停留所である
大学の前のバス停から
乗り込んで来る
男子大学生のグループが居て
そのグループと一緒になれる日は
私にとってのラッキーデーだ
今日は 3人だ
3人共 長身のイケメンで
それぞれに特徴的な容姿をしている
一番長身の銀髪のお洒落さんな
彼の名前は宇髄さん
声の大きいライオンみたいな彼は
煉獄さんと言って
もう一人の 強面の眼光の鋭いイケメンは
不死川さんと言うらしい
お互いの事を苗字で呼び合ってるから
上の名前しか知らないが
そこに偶にアンニュイな雰囲気の
物静かな冨岡さんと言うイケメンが
混じって居る時もあるし
中性的でミステリアスな感じの
オッドアイが印象的な
伊黒さんと言う人も偶に見かける
私はいつも
一番後ろの座席の陰になる位置が
自分の特等席なので
前の座席の陰に隠れながらも
バスの中ほどに位置取って居る
その3人の姿を見ていた
イケメンは目の保養になる
マスクしてるから顔の上の方しか見えないけど
それでもイケメンのオーラが
その3人からは出てるから
駅までの時間は彼等を眺めて過ごすのが
数少ない楽しみの一つだったりする
「ん?どうしたんだ?宇髄」
宇髄が後方の様子を気にしていたのに
煉獄が気が付いて声を掛けて来る
「いや、何でねぇし。いや…ちょっとな。
音が…した気がしたんだけど、
気のせいだったみたいだわ。何でもねぇよ」
「あん?音だぁ?アナウンスの音と
エンジンの音と、広告放送とか
そんなもんだろ?どうせ」
そう つまらなさそうに
興味ないと言いたげに不死川が言って
「んー?まぁ、そんな所」
と適当に言葉を濁しながらも
自分の耳が拾って来るある音に
宇髄が意識を集中させる
聞こえる…な こうもこの3ヶ月
五月蠅い位に後ろから聞こえるあの音…
聞くつもりが無くても 意識して聞いちまう…
ああ 乗ってるな あの女だ
宇髄が視線をバスの後方へ向けると