第69章 なつのおはなし ※裏なし掌編 お相手:色々
昨日突然にしのぶ様が
明日はお休みにしましょうと言い出して来て
蝶屋敷の留守は隠の人がしてくれるからと
海水浴に来ている
紫外線はお肌の大敵ですからと
しのぶ様の特製の日焼け止めを塗って
しましま模様のシャツに
ショートパンツに腹巻の様な
この時代では最先端の水着だが
そこまで水着は普及もしてなくて
腰巻姿の女性の海水浴客も居れば
炭治郎達の様に六尺褌姿の
男性の海水浴客も居る
「炭治郎、炭治郎は、日焼け止め塗る?」
「俺か?俺は男だしな。
日焼け止めはいいよ。それより、
みくりは泳げるのか?
俺は山育ちだから、
川では泳いでたけど海は初めてなんだ」
ビーチパラソルの下で
優雅に寛いでいるしのぶの傍らには
禰豆子の入った木箱があって
「海、見せてあげたかったから
禰豆子ちゃんも連れて来たんでしょ?
優しいね、炭治郎は。
でも、あの中に居ても、きっと
波の音も、海の匂いも感じてくれてると思うよ?
ねぇ、炭治郎。綺麗な貝殻探そうよ」
夜までここに居ても
海には明かりが無いから
禰豆子には海を見せてやるのは
難しいと考えて居たのを
みくりに見透かされていた様で
綺麗な貝殻を探そうと提案されてしまって
「俺は、みくりの方が
優しいと思うぞ?ありがとう、みくり」
「まだ、見つけてないよ。
綺麗なの、沢山探そうね?炭治郎」
貝殻を探しに行こうと
みくりが炭治郎の手を握って
砂浜を小走りになって走り出して
しばらくの間 禰豆子にあげる為に
綺麗な貝殻探しに勤しんでいると
「折角海に来たのに、泳がなくていいのか?」
「泳ぐのは後でも泳げるもん、
貝殻、沢山集まって来たね。
禰豆子ちゃん、喜んでくれるかな?」
「ああ、きっと喜んでくれる。
禰豆子は、可愛い物や綺麗な物が
好きだからな。みくりの
拾ってくれた貝殻は、
どれも綺麗だし、可愛い!…っ」
お互いが落ちていた同じ貝殻に
同時に手を伸ばして居て
ツンと指先が触れ合ってしまって
「ごっ、ごめんっ」
「うっ、ううん、炭治郎が拾って?それ」
「いや、先に、みくりが
見つけたんだから、そっちが…」
そうお互いに遠慮してしまって
そう言うならと手を伸ばすと
また さっきの様に手が触れてしまって
慌てて引っ込めようとした手を