第17章 夏の空の落とし物 前編 お相手:竈門炭治郎
思い出 が欲しいと
その白いワンピースの幽霊が言った
それから 後は2人で何とかしろと
陵厳に言われて 追い出されてしまった
町まで戻ると服屋へ向かった
白いワンピースの幽霊が
着ているワンピースに良く似た
真っ白のワンピースを購入して
それから 小間物屋で
白いワンピースの幽霊が頭に付けている
ひまわりの花を模した髪飾りに
似た感じの髪飾りを購入して
折角の夏祭りなのに
浴衣で来たのにさ
なんで 白いワンピースに着替えないと
いけないんだろ私
予めワンピースを購入した服屋に
着替える事の了承を得て置いたので
みくりが試着室を借りて
白いワンピースへ着替えると
髪型をポニーテールに結い変えて
その髪にひまわりの髪飾りを付けた
足元も華奢なデザインの
白い編み上げサンダルに変えて
「これでいい?」
とみくりが炭治郎の後ろに向かって
そう声を掛けた
「凄い可愛らしいです!清楚で
お嬢様って感じがして、
とても素敵です。みくりさん」
「あ、いや、炭治郎君。私は
君に言ったんじゃなくってね?後ろの……」
「す、すいませんっ、あまりにも
みくりさんのワンピースが
素敵だったので、つい…」
「まぁまぁね。おばさんにしたら、
上出来なんじゃない?」
そう 自分の後ろから
自分の隣をすり抜けて行く
白い影から声が炭治郎の耳にも届いて
ハッとして炭治郎が顔を上げると
みくりが右側の頭を押さえて
右目を瞑りながら
自分の右側に対して
何かを言い聞かすような口調で
「分かってるでしょうけど、アンタ
ちゃんと、約束守るんでしょうねぇ?」
そう言ったかと思うと
今度は右の目を開いて
左の目を閉じて
その開かれた 右の目に
炭治郎がハッと目を見開く
みくりさんの瞳の色
琥珀色なのに
右目の色 青くなって……
自分の鼻も その変化を
嗅ぎ取っていて
みくりさんの匂いが変わった