第68章 7月のある週末の話 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「美味しいね、シーフードカレー」
「ああ、美味いな」
杏寿郎は3杯大盛りでお代わりしてて
あっちの人も気を良くした様で
更にお代わりを勧めて来て
大盛のカレーの4杯目を杏寿郎が平らげて
「こんなに美味いカレーなら、
いつでも食べられる様にすればいいのに」
『そう言って貰えると、嬉しいです』
「このカレーは君が?」
『ええ。賄いは当番制ですので…。
僕は、まだ、ぺーぺーで』
そう見習いのコックである
まだ幼さの残る顔立ちのスタッフが
恐縮しながらも嬉しそうにしていて
「そんな事は、無い!
このカレーは美味い。これだけで
店を出しても良い位だ。
このカレーが食べられる店があったら
俺は通いたい位だがな」
「そんな、ありがとうございます」
「でも、カレーのルーの色味が
凄い深い色味ですよね?香りも
凄い、スパイシーさが立ちますし」
「ああ、それはですね?」
黒に近い色味の理由は
のりとイカ墨らしい
「イカ墨、生臭くなりませんかね?」
「ああ、トマトソースを
一緒に咥えると生臭さは抜けますが
イカ墨の色は残りますから」
そう特製のシーフード黒カレーの
ポイントを惜しげもなく教えてくれて
杏寿郎が期待に満ちた目でこちらを
見ているのには気が付いたから
「家で、同じ味になるとは期待しないでよ?
どこまで、この味を再現できるか
わからないからさ」
「このカレーのベースは
この船でコックをしていた、
僕の父のカレーなんです、
よろしければレシピお教えしますよ?」
賄いのカレーをお腹いっぱい頂いた上に
美味しいカレーのレシピまで頂いてしまった
「良いんですか?これ、大切な
お父様のレシピ、教えて頂いてしまっても」
「ええ、そんな風に食べて貰えたら
父も喜ぶと思うので…父のカレーを
美味しいと言って、食べてくれる人が
増えるなら、僕はその方が嬉しいですから」
ぎゅっとその紙ナプキンの走り書きの
レシピをみくりがぎゅっと
握りしめて うんうんと頷くと
「これ、大切にさせて貰います。
カレー、家で作ります」
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午後からの撮影は定番の
真っ白のウエディングドレスで
停泊中の無人の船内で撮影を行う
みくりの単体の撮影が多いから
俺は離れた場所から見てるだけだが