第1章 30分と30分 お相手:煉獄杏寿郎
蝶屋敷での仕事の合間に
みくりは はぁーっと深いため息をついた
こんな風に私が
憂鬱な気分になっているのは
柱である恋人の煉獄杏寿郎に
丸一ヶ月以上 会えていないからだ
会えていないと言うことは…だ
会話はおろか 口付けの一つもなく
それ以上に
そう言った事も 当然お預けな訳で
私は20代の
健康な体を持て余していた
「いつになったら、会えるのかな…」
とひとりぼやく様に言った時
「誰が、誰に会うんだ?」
会いたいとぼやいていた人の声がして
みくりが声の方へ振り返った
「丁度、ひと段落ついてな。
そのまま来たんだが…
少し、時間を取れないか?」
仕事の途中で抜けて来たようで
それでも会いたいと来てくれたのは
凄く 嬉しいんだけども
「少しと言いますと…、
どれほどでしょうか?」
私とて ここでの仕事があるし?
忙しい恋人がわざわざ時間を割いて
会いに来てくれたとは言えど
そんなに時間は取れないが
「1時間…いや、2時間と言いたい所だが、
俺もまたすぐに戻らなければならなくてな!」
「流石に、そんな長くは抜けられませんよ…」
杏寿郎の目が私に向けられていて
ニッと笑ったと思ったら
「なら、30分だな。決まりだ」