第62章 例えばこんな結婚式を 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
杏寿郎がそう声を掛けて来て
クロークで大きな荷物を
預かって貰えるのはありがたいし
「その話をしたら、
泊まる部屋まで運んでくれると
ホテル側から申し出てくれてな」
そう言えば 前にも連泊で予約してて
部屋が違う部屋に泊まる時に
荷物の移動もしてくれたホテルあったな
ここのホテルじゃないけど
こちらとしては大変にありがたいサービス
車と大きな荷物を預けて
営業時間前の店が多く
少し閑散とした臨海地区の
商業施設の中を歩く
「アクアトピア、行くの?」
「ああ、9時半からオープンだからな」
「あれ、杏寿郎、あれ見て
あれ、ビニール傘だよね?」
商業施設に併設されている
海沿いのプロムナードに
カラフルなレインボーカラーの
ビニール傘の巨大なアーチが見えて
「何だか良く分からないが、
凄いな、傘がアーチになってるのか?」
ふらふらとみくりが
その傘のアーチの方へ吸い込まれているので
仕方なくその後を追いかけると
骨組みが組んであって
その骨組みに レインボーになる様に
ビニール傘が設置されていて
その色がグラデーションを作りながら
移り変わるのが 外から見てても分かるが
「ねぇ。杏寿郎、
傘のアーチの中、通れるよ~」
「そんな、大きな声で
言わなくても聞こえてる」
さっきまで上の傘を見ていたみくりが
地面の方を見てるので
そちらに視線を移すと
カラフルな色の付いた傘の影が
地面に広がっていて
「たかだかビニール傘が並んでるだけかと
思ったが、これは凄いな」
「これさ、終わったらどうするのかな?」
問題にするところはそれなのかと
杏寿郎は思わなくも無いが
「あ、見てあれ」
丁度その傘のアーチの中で
ロケーションフォトを撮影しているのが見えて
「来月には俺達もするがな?」
「あ、そっか、そんな話聞いた
っと、これ、どうしよう引き返す?
このまま進んだら撮影の邪魔になるし」
そのまま 引き返して戻ると
本来の目的地である
アクアトピアを目指す
大きなワイヤーで出来た
ダイナミックに跳ねる
魚のモニュメントがあって
「あれ、カゲヤマシンキのやつだよね?
神南港市出身の、マルチアーティストの。
アクアトピアの壁も、そうらしいよ」
「壁?壁がどうかしたのか?」