第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
「これ?これはね、
テレイドスコープつーやつね。
普通の万華鏡と違って、
見た景色が万華鏡になるってやつ。
そんな説明するより、見てみれば?」
その小さな筒を 覗いてみると
周囲の景色が 万華鏡になる
緑の葉を見れば 一面の緑に
アスファルトで舗装された
駐車場と彼の車もシルバーと
黒と白の万華鏡の世界になる
「昔、お子様ランチについてる
アレを思い出します。あの
メガホンみたいになってる
四角い凹凸のついた
レンズが付いてるやつです」
「ああ。あれね。あれ
小さい頃、好きだったわ。
世界がキラキラになるやつね。
それとは、比べ物になんねぇでしょ?」
こっちにそれを 渡して置いて
すっとこっちに
宇髄が手を伸ばして来たので
見たかったのかなと思って
その手の上に ペンダント型の
テレイドスコープを置いた
その テレイドスコープの
ペンダントになって居る部分の金具を外すと
左右の両端を
それぞれの手に持って
自分の手元を見ずに
みくりの首にそれを付ける
「はい、これで良し。
ああ、ちゃんと首に掛けたままでも
覗ける様な長さになってるから、ソレ」
「ありがとう…ございま…す」
宇髄さんは ズルいと思う
みくりは運転席で
ハンドルを握っている
宇髄の横顔を睨みつける様に見た
「そんな目で、見なくても良くない?
俺、何か悪い事でもした?」
「いえ、何も…と言いたい所ですけど」
「けど?何?」
「宇髄っ…じゃなかった、天元さんは
その、ズルいです…よ、ズルい」
「んー?ソレはアレ?
俺に惚れっぱなし…で、
困っちゃうって意味?」
ああ もう そう そんな人だ
いつもいつも 余裕たっぷりで
こっちの事 揺さぶって来る癖に
涼しそうな顔してるから ズルいって
そんな風に感じて…しまって居て
「ズルいです…ッ、そんな
何でもないって顔して、こんな事」
「何それ?俺が余裕ぶっこいてる
とかって思ってる訳?んな訳ねぇし。
自分が惚れた女が隣に居て、
俺が何も感じてねぇとかって思ってたの?」
「でも、どうして…」
生憎 このモテまくりの彼に
パッとしない 私がいいのだと
惚れて貰える様な
そんなきっかけになる様な事をした覚えはない
「聞きたい?」
「聞きたい…です」