第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
そうだった そんな話だった
でも 一体どんなお願いを
されてしまうのだろうか?
スッと 宇髄が自分の顔を
そのクマのぬいぐるみで隠す様にして
ぬいぐるみを掲げると
自分の手でクマの腕を持って
普段の声と声色を変えながら
こちらに向かって話しかけて来て
『ねぇ、僕をみくりのお家に
連れて帰って欲しいなぁ~。
ねぇ、いいでしょ?お願いだよ~』
と そこまでクマのぬいぐるみの
声色で言うと
ぴょことそのクマの手を上に持ち上げて
その隙間から 覗く様にして
こちらに顔を見せて来て
「自分でしといてあれだけど、
これ、案外恥ずかしいのね。
って事だから、貰ってくんね?
ああ、悪いけど、返品無しな感じで。
コイツが、俺のあの部屋に居たら
違和感しかねぇしさ。ダメ?」
コホンとみくりが
ひとつ咳払いをすると
宇髄の方に自分の両腕を伸ばして来て
「そう言ったお話でありましたら、
その子を家でお預かり致しましょう」
「後さ、たまーに、様子とか
見に行きたいとかって、
言っちゃってもいいの?」
そうクマの影に隠れながらも
その顔が笑ってるのは
こちらからも見えてるし分かってる
「たまに…なら、いいですけど」
「しょっちゅうだったりして?」
「しょっちゅうは困りますッ」
そう冗談交じりに言った事に
つい大きな声で返してしまって居て
そっと 自分の右の頬に
ふわふわした何かが触れて来て
「不意打ち」
と目の前の宇髄がニヤニヤ顔をしていて
自分の頬に当たってるのは
そのクマのぬいぐるみで
「これは、その…、さっき
し損ねた…キス…だったりしますか?」
「ん?みくりは、可愛い
クマさんからのキスじゃ
ご不満だったりする感じ?」
宇髄の言葉にムッと
みくりが口を尖らせる
「そ、そりゃあ…、
クマからじゃなくて」
「俺の方がいい?」
そう 問いかけて来る口調は
どことなく色気を含んでいて
「…そうに…、決まってる」
「…みくり、可愛い。
じゃあ、キス…しちゃう?」
その言葉に ハッとして
みくりが顔を上げる
「で、でも…っ、ここは…外ですよ?」
「あっちからは、
クマしか見えないんじゃない?」
確かに自分の左側は壁で
右側からクマを押し付けられてるから
「そ、それは…ッ」