第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
「何をですか?」
「その恰好も、化粧も、髪も全部…」
「お好み…かは、知りませんけど。
私の親友がしてくれました」
はぁーーーーっと
宇髄が突然 その場でしゃがみ込んで
自分の額を押さえたままで
深い深いため息を付くと
「何それ?俺、すっげぇ
恰好悪いじゃん。最悪」
「足りないとは思ってるんです。
私じゃ、全然、足りないって」
俺はその時 どんな顔してたのか
俺にも わからなかったが
「宇髄さんも、そんな顔するんですね」
「は?俺の顔?」
「いや、今凄い、
顔、カッコ悪い顔してましたよ?」
「なぁ、どうしてくれる訳?
俺を、こんなにしてさぁ?
どう、責任取ってくれんの?」
そうしゃがみ込んだままで
いじけた様な顔をしながら言って来て
「えっ?責任…こっちが
取る感じなんですか?」
「だって、俺の事をさぁ、
みくりが貰ってくれる感じでしょ?
知ってると思うけど、俺ね。
自慢にもなんねぇけどさ、
どうしようもない奴よ?こんな俺でもさ、
良いと、思ってくれちゃってんの?」
何も言わないままで
目の前にすっと みくりが
宇髄に視線を合わせる様にして
しゃがみ込むと ニコッと笑顔になって
「だったら、宇髄さんを
カッコ悪い宇髄さんにしちゃった
責任を、私に取らせて貰っても?」
「なっ、何?その感じっ。
みくりさ。カッコ良すぎない?
男前過ぎじゃない?はっ、マジ、惚れそ」
ニコニコと目の前のみくりが
こちらを見て笑っていて
「宇髄さんは、可愛いですね」
「はっ、バッカ!男に可愛いとか
言ってくれちゃってさ、酷くない?
それも俺みたいなさ、男前に
失礼じゃない?」
「でも、可愛いですよ」
「天元…」
そうボソッと小さい声で言って来て
「ああっ、もう、だからっ
天元って呼んでくれたら、許す…」
「特別に?」
ムスッとした顔をしている
宇髄の顔を見ていると
こんな表情をするんだと
驚いてしまうし
可愛いってまた 言ってしまいそうだ
「天元さん」
「……もっかい」
「天元さん」
「…もっと、呼んで…くんね?」
「天元さん」
「ん…」
自然と距離が近づいていて
そのまま お互いの唇を
引き合う様にして寄せようとした時
『ねぇ見てっ!キスしようとしてるぅ~!!』