第58章 今年の彼の誕生日は…後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
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入浴を終えて 歯磨きと
ドライヤーで髪も乾かした
もう いつでも 寝れる準備をして
一緒のベットに入ったまでは良かった
杏寿郎は 今の自分の
置かれている状況が理解出来ないでいた
どうして俺は… ベットに横にならされて
いや みくりがお祝いとお礼をしたいと
そう言っていたから
てっきり 彼女の方から
そうしてくれるんだと そう思って居たんだ
「なぁ、みくり。
聞いてもいいか?」
「うん?いいけど。
口は動かしてもいいけど、
身体は絶対に動かさないでよね?」
動くなと彼女から念を押されているのには
理由があって
俺は今
みくりの手で
ベットに飾られていた
プルメリアの花を
身体のあちらこちらに
飾り付けているからだ
「楽しいのか?それは。
俺に花…飾っても、仕方がなくないか」
「えー?楽しいに決まってるじゃん。
杏寿郎にお花、凄く似合ってるよ」
はぁ…と杏寿郎が
小さくため息をつきながら
自分の身体のあちこちに
プルメリアの花を並べている
みくりの顔を見ていると
楽しそうにそれをしている顔が見えて
仕方ない…な
もうしばらく 飽きるまでこれに
付き合ってやるか…
「男に花が、
似合うっていうのもなぁ…
正直、複雑な気分ではあるがな。
こうして、ベットの上で
そうされていると花葬されている
そんな気分になるがな…。
知ってるか?そんなタイトルの歌が…」
昔あっただろうと
そう杏寿郎が みくりに
向けて尋ねようとした時
ぽつ…と 上から
水滴が落ちて来て
髪はもう 乾かしたのだから
おかしいとそう思ったのだが
ぽつ ぽつ…と
上から 雨の様に
降って来るのは
「…っ、杏寿郎…さんっ…」
そう呼ばれて またアレかと
そう思った時には遅かった
そのまま 嗚咽交じりに
虚ろな目をしたままで
自分じゃない誰かの記憶を
目の前の彼女は追体験して居て
俺の着ている バスローブを握りしめて
俺の身体に縋り付いて
大きな声を上げて泣きじゃくる
彼女の頬に 下から手を伸ばして触れた
今の君は みくりだろうか?
それとも 名も知らぬ 誰かだろうか?
どちらとも知れないのに
その どちらとも知れない