第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「いや、みくりに
カメラ慣れする、機会を貰えて
正直助かったんで、こっちとしては」
「何の事か分からないけど、
お礼を言うのはこっちだからね。
結婚式は本当の内々だけなんだろ?
だから、今日は一足先にね。
コロナの時代だからね、結婚式場も
今まで通りとは行かなくてね。
少人数のプランが主流になりつつあるしね」
こっちはあがったりだとでも
言いたげに成瀬が漏らして来て
「ゲストにも、マスクの着用と
チャペル内でのディスタンスと
換気、人数の制限をすれば…
結婚式も出来なくもないかもですがね」
「ただのおっさんの我が儘に
付き合って貰ってごめんよ?
俺は渡辺君とそうなってくれたらって
思ってたんだけどね、色々とね…」
成瀬さんからすれば
酒蔵の嫁にみくりがなったとしても
地元にずっといるって事だから
好都合だったんだろうがな
2人で一緒の撮影を始めると
カメラマンのアシスタントが
杏寿郎に声を掛けて来て
それまで遠くから見てただけだった
みくりがこちらの存在にやっと
気がついたらしく
「杏寿郎、凄いっ、カッコイイね。
そのモーニング、似合ってるし!
髪の毛、凄い纏まってるじゃん」
そのいつも通りの口調だったので
違和感を感じながらに安心してしまって
「昨日と同じドレスだとは思えない位だな。
みくり、綺麗だ。似合ってる。
どこから、誰がどう見ても、
俺の未来の花嫁さんは素敵だな!」
「ふふふっ、もう、杏寿郎ったら。
今は偽物だけどねぇ~どう?素敵?
凄いよねぇ、びっくりしちゃった
自分でも、自分じゃないみたい」
そう言いながら自分のドレスに
移していた視線を上げると
杏寿郎と目が合って
そのまま時間が止まった様に感じる
カシャカシャと
シャッター音が聞こえて
『はーい、今の表情、頂きましたぁ~』
こちらに満面の笑みを浮かべながら
カメラを掲げながら
カメラマンが言って来て
カメラマンの指示通りに
視線やポーズを色々と指定される
それにしても結構な枚数撮影するんだな
「次、そっち、そのまま、
ハイ、みくりさん、一歩下がって
はい、そう、そのままもうちょい」
その指示通りに
下がろうとした時ツンっと
パンプスにドレスが引っかかってしまって
バランスを崩して
「…きゃっ」