第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
ちゅ…ちゅ…と
音を立てながらキスを何度も
手の平にされてしまって
手の甲から支えている
杏寿郎の手でギュっと
唇を手の平に押し付けられてしまう
「いいか?みくり」
「杏寿郎…?いいのかって、その…」
「もっと、キスをしてもいいのかと
俺は聞いてるんだが?」
変だな やっぱり
そんなキスとかイチイチ聞いて来ないし
「ねぇ、どうしたの?いつもは…
そんな事、聞いたりしな…いっのに…」
「もっと、キスしてもいいか?」
まだ ちゃんとしたキスをしていないのに
なんでそんな 今更に
キスをしてもいいのかって聞くの?
「みくり?」
「…いいよ?キスしても…」
「いいのか?」
ますます混乱してしまいそうだ
このキスは特別な意味でもある様な
そんな言い方に聞こえる
「キス……しないの?」
「ん?してるだろう?キス」
キスと言うキスをしてないのに
キスをしてると言われてしまって
そのまま ギュッと
手の甲側から手首を掴まれて
手首にキスを落とされる
いや 違う 落とされたんじゃない
明らかに手首へのキスは
それまでの場所へのキスと違っていて
「んっ…、ふ…」
ただ 唇が触れるだけのキスに
自分の身体が反応してしまっていて
そこに軽く歯を押し当てられて
手首の中を伝って
ビリビリとした小さな痺れが起こる
ほんの軽くだけ押し当てられた
その歯を立てたりはしないけど
当てらえたと言う感覚だけは
手首から伝わって来る
ギュッとそのキスをした場所を隠す様に
杏寿郎が手首を掴んで来て
キスをした右手だけでなく
左手手首の下で掴まれて
そのままグイっとハンギングチェアの
クッションに押し付けられてしまって
彼のキスは今度は
左手の手首に落とされて
手首?何で?そんな場所?
と思って戸惑いが不安にも似た
感情をみくりの中で沸き立たせて
「君が悪いんだからな、全部」
そう一人で納得して
私にはさっぱりわからないままに
睨むような視線で上から見下ろされる
手首は解放されてないから
掴まれたままで 身じろぎも難しいのに
ちゅっと唇にして来た キスは
触れるだけのキスで
繰り返す その触れるだけのキスが
キリキリと胸を締め付けて来る
「ねぇ、謝った方がいい?」
「それは、みくり。
俺を…君が…」