第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
みくりが黒いフレームに
赤いクッションが付いたハンギングチェアに
一足先に座ると ブラブラと足を揺らしていて
「みくり、折角だが、
ちょっと手伝ってくれ」
そう杏寿郎が言って来て
何を手伝うのだろうかと
みくりが座っていた
ハンギングチェアから降りると
杏寿郎がハンギングチェアを
ぶら下げているフレームに
両手を掛けると持ち上げて
その様子を見てフレームに
みくりが自分の手を添えて
杏寿郎がそれを持ち上げるのをサポートする
「重いでしょ?これ、移動させるの?」
「ああ。これをこっちに向けよう」
「え?こっちに向けるの?」
向けた先にはうっそうと茂る森があって
敷地のメインの道はウッドデッキを
巡る様に一周しているが
その通りの方からは
ハンギングチェアの後ろしか見えない様に
向いている向きを杏寿郎が微調整していて
満足の行く角度になったのか
そのハンギングチェアの赤いクッションの上に
杏寿郎が腰を降ろして
こちらに向かって手招きをしていて
ポンポンと自分が座っている隣を
手で叩いて
「みくり。ここに座るといい」
「はいはい」
ボスンっとそのふかふかのクッションに
みくりが座ってそのまま
半球になったカゴになっている
ハンギングチェアの背もたれに身体を預ける
ゆらゆら……と止まりかけのブランコみたいな
スイングで揺られるのを感じていると
「ハンギングチェアね、
他のメーカーのもあるし、
一人用のもあるじゃない?
私…ね?杏寿郎と、こうしたくてね。
一緒に、座れる所にして下さいって
成瀬さんにお願いしてたんだよ」
「俺とこうして、
ゆらゆらしたくてか?
みくり、君も中々に
可愛らしい事を言うんだな」
杏寿郎がこちらに手を伸ばして来て
スッと彼の手がみくりの頬に触れて来て
「みくり…いいか?」
「え?でも…ここ……」
「あっちからは、この角度なら
俺達がキスしてても、見えないだろう?」
じとっとした視線を
みくりが向けて来て
「もしかして、杏寿郎は最初から、
そのつもりで、向きこうしたの?」
呆れたと言いたげな口調で
そうみくりが訪ねて来て
「嫌か?ダメだったか?みくり」
「ちょっとだけなら、いいよ」