第50章 ハルイロ お相手:煉獄先生 ※裏なし
チャラ…と
みくりの左の手首に
アーモンドの花びらのブレスレットが見えて
杏寿郎がみくりの手の平に
自分の手を添えて
支えながら引き寄せると
反対側の手で
そのアーモンドの花びらを
包み込む様にして
その上に重ねて来る
「あの時の、あのアーモンドの花びらが
今…ここにあるのも…、信じられないが。
あの時に、早い春を君の髪に彩った
その花びらが今も、そんな形になって
みくりさん。貴方を彩っているんだな…」
あの時と 同じ様に
淡い ピンクのハルイロに
「杏寿郎さんが…、この花びらを
拾ってくれたから…ですよ。
自分の手で取って居たら、きっと
この花がアーモンドだって
知る事もありませんでしたでしょうし。
こうして、
残そうとも思わなかったでしょうから」
気まぐれに 風に舞った
花びらが 舞い降りた先が
君で良かったと
その春の風に 感謝をしたくなってしまうな
「みくりさん…」
俺がその名を呼ぶと 俺の目の前の
彼女が笑って
その笑顔が 俺には何よりも
鮮やかに 輝いて見えるから
春が似合う貴方と
ハルイロに満ちたこの季節に
ハルイロの 恋を 始めよう
ふたりで ここから
「貴方には、
やはりこの色が良く似合うな」
スッと手を引き寄せられて
杏寿郎がみくりの腕の
レジンの中のアーモンドの花びらに
己の唇を寄せた
ザァ…っと 風が吹いて
淡いピンク色の 花びらがまた
その風に 飛ばされて 舞い上がって行く
スッと唇に杏寿郎が指先を重ねて来て
軽く圧を掛けて押されると
「こっちにも…、
そうしてもいいだろうか?」
その問いかけにみくりが頷く
ひらひら… ひらひらと
ゆっくりと ゆっくりと
その 淡いピンク色の ハルイロの花びらが
舞い落ちる その中で
唇をそっと 重ねた
春ですね
ハルイロの恋 始めませんか?
貴方と出会ったこの場所から
貴方と…
ふたりで
ハルイロ
ー 終 ー