第49章 3度目のホワイトデーは 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
その杏寿郎の言葉通りに
料理が進む頃に酒の方も大分進んでいて
「上…、脱ごう、かな?
杏寿郎は暑くない?ちょっと
酔っちゃってる、みたい…」
みくりがそう言うと
持っていた箸をおいて
右手で顔が火照るのか
パタパタと扇ぐと
徐に浴衣の上に羽織っていた
えんじ色の羽織をスルッと脱いで
自分の隣に軽く畳んで置いた
杏寿郎と目が合って
「珍しいな…。いつも、あまり
酔わないだろう?もっと、頼むか?」
「飲みすぎちゃうよ…?」
「いいだろう?俺しか居ないんだから。
飲み過ぎて、酔っぱらってしまっても
俺しか見てないからな」
視線…
私を見てる 杏寿郎の視線を
全身に感じて居て
見られてるだけで…妙に意識してしまう
まるで 身体中を
杏寿郎の視線に
舐め上げられてるかの様で
はぁっと熱い吐息を思わず漏らしてしまう
「今日の君は、どうにも
いつも以上に、色っぽいな。
その浴衣の所為なのか、それとも
酒の所為なのかも知れんが…どっちだ?」
「気のせい…じゃないかな?
杏寿郎、浴衣の事ばっかりじゃん」
「誰が何と言おうと、浴衣は
温泉には付き物だし。醍醐味だろう?」
「って、単に浴衣えっち
したいだけな…んじゃ」
「分からないのか?」
「分かりたくもありません」
「何も分かってないんだな!
温泉地に旅行に来てる男の目的なんて、
それしかないんじゃないのか?」
と物凄く真剣に言われてしまって
私にはその心理は理解に苦しむが
「まぁ、今の君の姿じゃ
完成形とはまだ呼べないがな」
「え?浴衣…、着てるじゃん」
「まだ、すっぴんじゃないだろう?」
杏寿郎の言葉に
みくりが意味が分からないと
言いたげな顔をして来て
「え?そこ?」
「むしろそこが重要だ!浴衣に
ラフなまとめ髪に、遅れ毛と、すっぴん
後、髪は少しまだ芯に水分が残ってる
濡髪だと最高だな」
うずうずと言いたくなってしまって
しょうがない
「杏寿郎さぁ…、馬鹿なの?」
「俺が、馬鹿なんじゃない!
男と言うものが総じて、それに
同じ様な感情を抱いて居るんだ!」
「やっぱ。馬鹿じゃん」
「馬鹿げた話だとでも言いたいか?
だが、それに
真剣にもなる。ロマンだからな」
腕組みをしながら
杏寿郎がうんうんと何かに
納得するかの様にして頷く