第47章 ユガミノクニ お相手:煉獄杏寿郎+α
すぅすぅとあどけない表情を浮かべて
ダブルベットの隣で眠っている
みくりの頭を杏寿郎が撫でた
「…ぅん、ふにゃ、…すぅ」
こうして眠っている顔を見て居ると
十代の少女の様にも見える
歳は俺より 二つ下らしいが
彼女との出会いは 5ヶ月前になる
杏寿郎がその顔を眺めながら
出会った5ヶ月前を思い返した
俺の住んでいる このマンションの
駐輪所の前の植え込みに
座り込んでいたんだ 夜中に
『家出少女か?』
『少女じゃない…です』
『未成年者じゃないのか?』
『これ…』
そう言って指で名前を隠しながら
身分証明書を提示して来て
『どうしてここに居る?』
『家はあるけど、帰れない』
俺は 隣に誰かいないと眠れないから
丁度その前に彼女と別れたばかりだったので
数日 ろくに眠れてなくて
殆ど眠れてなかったから
兎に角眠りたくて
隣で寝てくれるだけでいいと
そう言って自分の部屋に上げた
明るい所で改めて見ると
汚い…な…
どこを通って来たのか分からないが
靴も着てた服もドロドロで
小枝やら葉っぱやら引っ付いていて
正直 このままベットに上げるのは
俺も気が引けたが
眠れないよりはマシだと
名前も聞かずまま
顔も見ずままに
そのまま ベットに上げた
数日ぶりに人の気配が隣にあって
俺はすぐに眠りに落ちた
かなりの時間寝てたらしく
目が醒めた時は朝だった
そのまま付き合ってくれた彼女に
行く所がないなら ここに居ればいいと
そう 提案した
家事も出来ないと言うが
それは俺が出来るから問題ないと言った
条件はたった一つ
寝る時に横に居てくれるだけでいいと
その返事をどうするかの前に
トイレとお風呂を貸して欲しいと
そう彼女が言って来たので
その間に着ている物を洗濯するからと
そのまま トイレに案内して
バスルームの場所を伝えた
風呂から 出て来て
バスタオルを頭に被っていたから
その顔はバスタオルが邪魔で見えないが
昨日は昨日で
髪の毛もボサボサで
貞子みたいになって居たから
ドロドロになっていた
シーツも一緒に洗濯した
俺も我ながら相手の
名前も顔も知らずに
無謀な提案をしているなと思ったが
”彼女”でない
”添い寝”をしてくれる存在は
俺にとって貴重な存在だった