第16章 釘
ー侑sideー
6月15日(月)
カリフォルニアは10時。
初めて一人で海外に来た。
……右も左もよぉわからんけど、
ツーリスト慣れしてそうな人たちに助け求めて助けられ、
なんとかホテルに到着。
チェックインはまだやけど、荷物だけ置かせてもらって、さぁどないしよいう時間。
時差ぼけきっつ……
今日本2時やで、2時。
わけわからん。
結局穂波ちゃんには連絡せーへんかった。
北さんからの電話で色々考えてもーて。
んでそん次の日に研磨くんからLINEが来た。
【治くんに聞いた。時間あるとき連絡ちょうだい】
血の気さーっとひいた。
ほんでも短い文章やのに不思議と冷たさはなくって。
でも血の気引いたんやで、俺の頭ん中は研磨くんをガチで怖がってんねやなって思った。
動物的にいうか。
──「あ、侑くん。今だいじょーぶ?」
もう寝るまで予定ないよ、ってLINE送ったら
夜に電話かかってきた。
「ぉん。大丈夫で。研磨くんと喋るんなんや久々やな」
「うん」
「………」
言いながら、あ、俺研磨くんとLINEで繋がれとること嬉しいんやな、って思った。
ガチで怖がっとる俺も本物やし、
友達になれたみたいで嬉しいって思っとるんも本物、
なんや変なの、って思いながら、
いやいやちゃうって、こんなこと言わんでもええねん…って思っとった。
したらやっぱ無駄にそれ引っ張るでもなく、
極手短な研磨くんの返事に心が静まる。
「…結論から言うと、おれは関与しないから」
「………」
「関係ない、のスタンスを今は貫く。
その上で侑くんにいくつかお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「………」
かわしい声して、
ドチャクソ怖い脅迫してきそう。
研磨くんて、唆るわぁ……
…ってちゃうちゃう、
今は俺がしたコメントに対する世間の反応への対応の話。