第15章 バンバンジー
ー昼神sideー
「その、その宮侑選手は男性女性問わずファンが多いのですが、
昨日インスタグラムである動画にコメントをされたんですね、公式アカウントの方から。
それがファンの方の目に留まりまして…今大騒ぎです。
その内容というのがですね……」
研磨くんの存在を知ってる俺らからしたら、
なんかすごいばかばかしいニュースだなぁ、とか思いつつ。
宮侑選手の学生時代のチームメイトとかに連絡を取ろうとしてみたけど
誰一人として取り合ってくれなかった、とかいう情報も出してて。
なんででしょうね、とか言ってそれについて喋ってた。
それから会社とかコヅケンについての話題にも触れつつ。
SNSでの話題を新しいソースもなく
テレビでするってどうなのよ、とか思いながら、
大学へと向かう車の中でその番組を流していた。
穂波ちゃんのアカウントはまだ誰のコメントにもリアクションをしていない。
フォローしてるのも増えることなく、
韓国のフィルマーと研磨くんのと噂されてる株式会社のアカウントのみ。
…今更LINEから連絡するのもダサいし、
一旦忘れて、学生としてのここでの時間に集中しよう。
大学についたら講義の前にまたあの動画を観よう。
何度観てもあせることのない、魔法みたいな力を持ったあの動画は、
きっと俺だけじゃなく多くの人に力をくれてる。
だからこその、この再生回数でフォロワー数でコメントの量だろう。
宮侑くんのコメントに対する、
下世話な憶測のニュースがいくら蔓延っても。
コヅケンの会社じゃないかとか
著名人同士を関連性をつけたがる心理がそこにあっても。
関係ない、
なにも汚されない、
そんな高くて綺麗なところに、この動画はある。
そんなところにひどく安心している俺がいる。