第15章 バンバンジー
ー研磨sideー
「おはよ、孤爪」
「…ん、はよ」
6月8日(月)
午前。大学。
少しだけいるトモダチは、先月のライブ配信後も何も変わらない。
たまにおれのことを守ろうとしたりするとこだけは、ちょっと変わった。
「なぁ、昨日の投稿はわざとヒントやったの?ロゴのやつ」
「あぁ、うん、まぁ」
「しっかりヒントを拾って集めて、
今朝には孤爪の会社じゃないかって答えに辿り着いてたけども。
いいの?そっちは」
「うーん、予想できなかったおれが悪いんだけど、
ちょっと馬鹿なのかなってコメントする人がいて。
まぁ遅かれ早かれかなとか思って」
本当は会社として実績を多少は出してから公表するつもりだった。
でもbouncing ballをバレー関連でイメージ固められるのがやだったし、
まぁ普通に、利用しちゃえばいっか、じゃないけど。
カズマに行きつけば
どっかからあの、高三の時のカズマのスポンサー企画の記事が、写真が出てくるだろうと思った。
カズマとのつながりはこの間のライブ配信でもう、拾ってる人いたし、そこからは早いかなって。
「でもあれ彼女なんだろ?どうすんの、そっちも公表すんの?」
トモダチが小声で聞いてくる。
「んー…それは、しないかな。まだ」
「じゃあ、関西のバレー選手の彼女って噂はそのままでいの?」
「…ふ まぁいいんじゃないの。おれはね」
「でも彼女はどうなるんだよ、守ってやんないの?」
「守るよ、絶対。でもそんなやわじゃないし、味方いっぱいいるから。ダイジョーブ」
「…あんな儚げな、夕陽が沈むと共に消えちゃいそうな踊りするのに?マジ俺鳥肌たったよ」
「うん。ダイジョーブ。
大丈夫だけど、侑くんには少し忠告しておかないとかも、確かに」
「…孤爪あのイケメン選手と知り合いなわけ、ガチ陽キャじゃんあの人」
「…ふ、確かに。 なんか色々あって、うん。知り合い。 …弟と、友達かな」
「なるほど、友達の兄貴か」
「まぁそんな感じ」
国際試合とかサマーリーグとかはあるものの、
今はVリーグはオフシーズン。
大学に在籍してない侑くんならほんとに行きかねない、とか思った。