第15章 バンバンジー
ー黒尾sideー
23時。
バイト上がり。
ついつい見ちまう例の動画。
そのついでに研磨の会社のアカウントにとんでみた。
バイト先の居酒屋でもちょいちょいその話題が客席から聞こえてきた。
…そ、研磨は想定内かもだけど
踊ってる本人はきっと想像もしてないくらいにバズってる。
んで、そこで耳にした研磨の会社のアカウントの初投稿。
将輝さんがタグ付けされててそこからするするとカズマにまで辿り着いてしまう。
バウンシングボールって名前からはあまり想像しない展開だろう。
…で、早い時間に飲みにきて
早い時間に帰っていった女子大生っぽい子たちの席から聞こえてきた会話を思いだす。
日曜の夜だしな、基本みんな早いけども。
「ねぇ、宮侑だっけ?好きって言ってたよね?」
「なにそれ?」
「〇〇の推しのバレー選手」
「うん、好き!顔面だけで推せる!バレーしてるのみたら堕ちる!」
「え、テレビで見たかも… 高校卒業と共に一軍的なのに入団で、
すでにリオオリンピック日本代表確定みたいな?」
「…いやそれは影山選手。彼も美しいけどもっ。私は宮侑一筋。 …で?」
「これこれ、Twitterで話題になってる。
さっき何度も見たあの光の妖精の動画のコメント欄のスクショ」
「………え、え、えーーーー!!!!
妖精と宮侑が付き合ってるの!?!?!?やだ!応援しかできない!!!!
なにこの感情、ひとつも悔しくない!ムカつかない!!!」
…ってやつ。
宮侑って時点で耳がぴくっとなるだろ。
影山で、ピクピクってなるだろ。
女の子たちの会話聞いてるとイケメン枠ってもんが浮かぶだろ。
未来の参考になります〜ってしてたら
光の妖精の動画…… まぁ穂波ちゃんのことが耳に入ってにやけるだろ。
いやそれみんな俺の知り合いっす。っつって。
からの、まさかのゴシップよ。
女の子たちに混ざって携帯覗き込まないようにするのが大変だったわ…
宮侑、何をやらかした?
ってもうその後は頭ん中そればっか。