第15章 バンバンジー
ー佐久早sideー
22:30。
Twitterで話題になってたインスタのリンクに飛ぶと、
ものすごく美しい踊りを踊る女性がいた。
インスタを登録し、その人をフォローした。
ワンピースドレスの裾から見える脚、
マスクに隠れてない顎や唇。
それから長く綺麗な髪の毛。
あの子に違いないと思った。
音駒の文化祭でダンスを見たのは理由になるだろうか、
と思ってしまうほどあの時より更に美しくなっていたけど。
まだ名前を呼んだことがない。
元也は穂波ちゃんと呼ぶ彼女。
孤爪の彼女だというあの子。
寝る前にもう一度みようと開いて
そのまままたそこにタグ付けされているアカウントに飛ぶ。
すると前に見た時にはない投稿があった。
そこからどんどん飛んでいって今行き着いたのが
【masaki miyake】
映像撮ってます。
主にスケボー、スノボ、サーフィン、BMXなど。
my son @kazumamiyake
デザインもやってます。@miyake_design
というアカウント。
カズくん…って元也も言ってた、
2年の時の代表決定戦のあと元也とぶつかって転んで受身とった子ども。
スケボーをやってて…
…ってうわなんだこれ。
手すりなんてものに手をつけることはないとはいえ、
手すりにスケボーをかけて滑るなんて不潔極まりない。
…とはいえ、ものすごくかっこいい。美しい。
スケボーってこんなに綺麗なものなのか?
それともこいつの持つ、スタイルみたいなものなのだろうか。
重心がぶれることなく、安定していて
とても簡単なことをしているように見える。
…というかこれで確信した。
やっぱりこの踊り子は、穂波だ。
元也にならまだLINEを入れてもいい時間だ。
【穂波の連絡先教えてくれ】
既読がつく。
【聖臣、あれみた!?すげーな!
連絡先ね、一応教えていいか確認しとくなー。
時差あるからあんま待ちすぎんなよ、おやすみ】
…やることやったからとりあえずもう寝れる。
もう一度だけ動画を観てから。