第15章 バンバンジー
ー昼神sideー
今日は日曜だから大学は休み。
パン屋のバイトに早番で入って夕方に上がって今20時。
晩飯も風呂も早めに済ませた状態でまた、携帯を開く。
昼の休憩中にインスタを開いたら流れてきた動画。
その時から今まで、何回再生したんだろう。
コメント数も、
再生回数も、
それから伸び続けるフォロワー数もすごい。
コメントは英語中心に世界各国の言葉で溢れてる。
俺はまだ穂波ちゃんのダンスはみたことないっていうのに、
これは間違いなく穂波ちゃんだと確信している。
タグ付けされている2つのアカウントの内、
一つのアカウントはなんの投稿もない株式会社のアカウント。
…謎でしかないけど、スポンサーか何かか。
もう一つは映像を撮っている韓国出身の大学生だった。
投稿をいくつかみているとカリフォルニアので撮影されてると分かるものがあって。
その時点で、ぼんやりとしていた確信が、確固たる確信になった。
ぼんやりとした確信ってなんだよって感じだけども。
「…どうしようかな」
穂波ちゃんはきっと、このコメント全てに目は通せない。
キャパオーバーとなってきっと、逆に全てを見ないを選択する気がする。
DMだって相互フォローじゃなければ見てもらえるかわからない。
…わからないけど、穂波ちゃんは俺のアカウント名を一応知ってる。
覚えてるかはわからないけど、一応伝えてある。
【I’m so happy to see this. Finally you’ve started an ig account】
あえてLINEではなくインスタに送ったのはきっと、
探しだしてくれないかな、っていう俺のよくわからない願望によるものかな。
…こじらせては、ないと思う。
簡単な単語で形成された得意でもない英語でコメントをしたのは、
日本人だって特定されちゃうかなって思ったから。
遅かれ早かれかもしれないけど、俺としてはなんとなく。
カリフォルニアは朝の3時くらいだから、
今はまだなんの動きもないのはわかってる。
だからとりあえず俺も、リアクションあるかなとか気にしないでいられる。