第15章 バンバンジー
今、18時。
今朝までおれとフィルマーの計2人だけだったフォロワー数は
もうすぐ2000を越える。
たったの6時間。
でも多分、みんな思う。
そりゃそうだよね、って。
だって、ほんと、すごいの撮れたし。
なんていうか、台無しじゃない。
いいとこ全部映ってる。
穂波の自然さも、穂波を取り囲んでる草木や太陽、風さえも、完璧。
肉眼でみるそれが、よすぎるから。
レンズを通したものが、それを台無しにするのだけは絶対にいやだった。
──「…なんだっけ、韓国の撮影する人」
『…ジュノ?』
「そう、ジュノ。連絡とれる?」
『あぁ、うん。前に一回撮影したときに連絡先は、うん』
「最初の一本、ジュノに撮ってもらいたいってことと、
おれも話したいから連絡先教えてくれるかの確認を」
『…うん、わかった』
ジュノは秋学期に穂波がとってたクラスで一緒になって、
動画を撮りたいと言われて一回撮ったやつ。
アキくんのは完全にプロで超かっこいいけど、
ジュノのもすごくいいなって思った。
それに現実問題アキくんに頼むのは今は無理で。
ジュノのYouTubeも見てみたけど
ストリートダンスとか夜のストリートスケートとか載せてて普通にかっこよかった。
穂波のこと撮った動画は載せてはなくって、今となってはよかったと思う。
夜の色が強く、自然じゃなくて人工物って感じが強いけど、
そんな動画の中に旅先で撮ったのかな、みたいな自然が多い動画が数本あって。
それが、すごくよかった。
で、しっくりきた。
きっと腕は確かだと思う。
センスもいい。
あとはおれの言うこと聞いてくれるかってとこだけど。
前に撮った動画をアップしてないところから、
何かひっかかるものがあったんだろうなって思った。
だからこっちの注文に賛同してくれればきっとのってくれる。
そう思った。