第13章 空
ー月島sideー
9月30日(水)
部活を終え家に戻るとリビングの机に小包が置いてあった。
少しくたびれた趣のそれは
すぐに穂波さんからの国際郵便だということがわかった。
「蛍、おかえり。それ穂波ちゃんからよね?
驚いちゃった、ハガキはあるけど海外からの小包なんて初めて受け取った。
…ってまぁ、普通にいつものヤマトさんだったけどさ」
「あ、母さんただいま。受け取りありがとう」
「ありがとうって…何か届くこと聞いてたの?」
「いや、何も」
普段荷物を受け取っておいてくれても、特別こういうやりとりはない。
穂波さんが日本にいた頃は何度か小包が届いたけれど…
「蛍、穂波ちゃんからの小包の時だけいつもお礼言うのね」
「…ちょっと、やめてくれる」
「…お風呂は?ご飯は?先に開けるの?」
「ご飯は… 自分でやるからいいよ。風呂入ってくる」
「うん、じゃあよろしく〜」
すぐにでも開けたい気持ちを抑え、まずはやることをする。
…受験勉強は、後回しにするけれど。
とりあえず汗を流して、ご飯を食べよう。
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【蛍くん、やっほー。少し遅れちゃったけど、お誕生日おめでとう♡
勉強にバレーに学校生活に、充実した毎日を過ごしているようで嬉しい。
お誕生日当日、電話で話せたのも嬉しかったよ。
わたしも日々課題に追われながらも、バイトを探しています。
…違うか、バイトを始めようと思っています。
その辺はまた、電話した時にでも話そうね。
プレゼント、蛍くんのこと考えながら選んだよ。どうかな?
18歳の蛍くん。どんどんかっこよくなっていくんだろうなと思ってる。
蛍くんに会ってから2ヶ月も経っていないのにもう、次に会える日が楽しみです。
またね。みんなによろしくね。 穂波より。
P.S. 緑の紙袋に入っているお菓子は山口くん、仁花ちゃん、翔陽くん、影山くんにもお裾分けお願い♡
箱のお菓子はご家族で食べてね。 他にも食べ物入っているけどあとは蛍くんの好きにしてね】
蛍くんの好きにして…
ポストカードに書かれた文章とはいえ、
文脈関係なくエロい。
…思ってるより疲れてるのかも、僕。