第12章 Hi!
ー研磨sideー
治くんとの感じはキャンプした時に見てたけど、
侑くんとの感じは確かに、じっくり見たのは初めてだった。
でもそれをいえば、北さんとかアランくんとか、みんなだ。
別に宮ツインズが特別なわけじゃない。
穂波は誰といても、隣にいる人が恋人なのかなとか思わせる節があると思う。
稲荷崎限定じゃない、リエーフとかもそうだし
穂波に恋愛感情を抱いてるわけじゃないだろう人、
例えば芝山や犬岡だって、年下の彼氏的なふうに見える。
虎だって、そうだ。ちょっとぶっきらぼうで、でも紳士で、みたいな。
穂波としかまともに話せないんだから余計にそれは増す。
福永も然り。
もっと言えば、女子だって、仲良く話してる姿は、
なんか、そういう風にも見えたりする。
けど、侑くんってやっぱ、あんだけのゲームメイクをコート上でするだけあって。
なんか、詐欺師っぽいとこあるし。
でもそうかと思ったら単細胞の極みみたいなとこもある。
その両面使いに穂波が翻弄されつつあるのは分かった。
治くんとはまた違った切り口で。
穂波の心に触れてる。
…でもまぁそれを言えば結局みんななわけで。
ま、いいや、これに関しては。
送別会の後、結局音駒メンバーが残って泊まっていって。
穂波は途中で抜けて寝室に戻ってたみたいなんだけど。
みんなが寝静まった頃におれのとこに来た。
──戸を開けてひょこっと顔を見せた穂波に気付いて目を向けると、
入ってもいい?って言うから、うん、って言った。
もう寝るね、じゃなくて一旦入ってくるとこが、いつも、かわいいし嬉しい。
『研磨くん、お疲れさまぁ』
「ん、みんなは?」
『みんな寝てたよ、さっきそっと見てきた』
「そっか、穂波ももう寝ちゃったかと思った」
『ん?』
「電気ついてたのが消えたから、寝室」
寝室とこの部屋は隣接してるから、
カーテン開いてれば電気がついたか消えたか、そういうことはわかる。
「キャンドルつけてたか」
『ん、ぼーっとしてた』