第8章 そういえば
「子どもはね、うん。それも… このタイミングでのそのワードの出現にはちょっと驚いたけど……
でも前、一度そういう話があったでしょう? その時にも改めてわかってるし、
その前からもう、研磨くんがそういうつもりで穂波といてくれてるっていうのはちゃんと伝わってるから。
本当にありがとう」
「…でも、大学の学費は僕たちに払わせてもらっていいかい?」
「…え、あ、いや、その……」
「まぁ、心と本人の意向で遊びに使うお金は自分で稼ぐ方式らしいのと。
向こうの大学でバイトもしっかりするって結構タフなんだけどな。
あと生活費はアキが持つって聞かないんだよ、だから結局僕らが払うのは渡航費と学費だけでね。
そんなわけでせめて学費だけでもね、最後、親として工面できたらと思うよ。幸い仕事もうまく行ってるし」
そんなの当たり前だ…
子どもを養う発言も大概だけどまだ許せる…
穂波の学費払うとかちょっと行きすぎじゃん…
「あの時穂波が妊娠して、2人にもしいま子供がいて。
後々穂波が大学行きたいって行ったら、研磨くんは今みたいに当たり前に行かせてくれようとしたんだろうね。
お金の面でも、サポートしてくれて。 その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくね」
「…ちょっともうお願いだからその話は忘れて……」
「あはは!珍しく研磨くんがたじたじになってる」
「いやもうほんと……」
ふわふわしすぎだし、おれ、うかれすぎだなって。
話がしたいと言って会ってもらって、わざわざ恥をかきに来た気分になった。