第7章 su casa
ー穂波sideー
「なんか… ちょっと覚醒してるし… 今日別にやろうと思ってたことないし…」
研磨くんはすこし、黙り込んで考えこんだのち、喋り出した。
「それに穂波も予定ない…よね? バイト?」
『バイトは明日からちょこちょこ入ってる』
「…なら、一回起きよ。 洗濯とかなんか家のことして、また後で一緒に昼寝したい」
『うん』
「…昼寝っていうか 完徹状態だから… 何かよくわかんないけど…」
『うん』
「完徹した穂波なんて初めてだ」
『…ふ 笑 完徹した研磨くんなんて初めてだ』
「…ふ 笑」
くすくす笑う声が、鳥の囀りと重なって。
平和な、朝。
まだ5時になってないくらいだから。
きっと昼前にはわたしたち、ベッドに戻ってきて泥のように眠るだろう。
今日は晴れ予報だし、シーツも洗濯して干して。
それくらいだけ済ませたら、いつでも寝ちゃえばいい。
今日は、そんな日だ。
今日の分を明日に持ち越しさえしなければ良いにする。
今日で完結させるのを小さな目標に。
『お風呂、わかそっか』
「うん」
『朝ごはんは何が良いかなぁ』
「…軽くて良いな 昨日の残りは夜食べよ」
『うん、わたしも一緒だから…』
小松菜やバナナとアーモンドミルク、それから甘酒でスムージーを作って。
まだ欲しかったらグラノーラつまんでも良いし、チーズを齧ってもいい。
わたしは小さめに、でももりっと生野菜も食べたいな、とか。
そんな、軽めの朝食をお風呂の後一緒に食べよう。
部活や学校で、今までにはなかった、こういうリズム。
いつもの、ではないにしても。
それすらもきっと、日々に溶けて遠くから見ればいつもの、を織りなすカケラになる。
わたしたちのこの家で。
それから、離れていても。
時間を、空間を、関係を。
育み続けれるんだな、これからも、2人で。