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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第7章 su casa


ー黒尾sideー







なに怒ってるの、とか心底よくわかんないって顔で言うけども。
ありがとうの言葉を言うことすらも、柄でもないことのわりに照れもなく飄々と淡々とやってのけるけども。

怒るしかねーんだよ、いきなりお前に感謝の言葉を言われるとさ。
ついてけねーし、不意打ちだし… なに言ってんだよ、って怒れてくんだよ。

こちとら、お前のこと、ずっと見てきた身なもんで。











「…あ、父さん。 穂波と今度さ、行って欲しいとこあるんだよね」







いきなり声かけられておっちゃん、ちょっと硬くなってるし。
おばちゃんへのそれで、おっちゃんももうすでにもらい泣きしそうになってるからな。








「なんか… 貫入のとかやってる陶器作家の展示。器、一緒に選んでくれない?」

「…え? あぁ… うん、わかった」

「うん。また詳細LINEする。予定はまた穂波と合わせて」

「あぁ、わかった。 ははっ 楽しみだな…」








一瞬で予想しただろう流れと違う会話でおっちゃん、
よくわかんないとこで笑っちゃってるし。

研磨、お前の計算もこえーけど、
俺にはお前の計算じゃねーこういうとこがもっとこえーわ。









「いろいろ、ありがと。なんか、よかったなって思ってる」

「…あぁ? うん?」

「父さんと母さんでよかったな、とか思うよ」

「………」

「おれを、育ててくれたのが」

「………」

「…じゃあ、いくね。また連絡する」










おいヨイヨイ… じゃあ、いくね。じゃないでしょーが!
今の! そんなの! 俺ですら言えてねーわ!
それをすっげーさらっと、至極淡々とまたこいつは……










「…研磨」

「…? なに?」

「父さんたちのとこに生まれてきてくれてありがとうな。
お前はいつまで経っても父さんと母さんの子供だからな。
いつでも… いつでも… …っ」








いやいやいや、ふざんけんなよ、俺まで泣けてくる……
研磨、全部お前のせいだぞ……









「…っズビビッ うぅっ うぅっ……」









いやいやいや、山本、お前は泣きすぎだから。













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