第7章 su casa
ー研磨sideー
3月16日(日)
「おはよう、鉄くん。朝からありがとうね」
「福永くんも山本くんもありがとう」
クロが来た。
穂波ん家のランクルに乗って。
虎と福永もどっかから合流したらしく一緒に乗ってきた。
「いやランクルでけーわ。緊張した〜…」
「お疲れさま。もうちょっとがんばってね」
「………」
クロたちがこっちに来て。
周平が穂波の家に行ってる。
国立の家で合流。
どっちも別に家具とか持っていくわけじゃないから、
そんなに大きな荷物はないけど、
ゲームとか… ゲーム、全部持っていきたいから、おれの方が多いってことで。
こっちにランクル、向こうがラングラーで来る。
「…福永、バイト決まった?」
部屋から荷物を下ろしながら聞いてみる。
こくこくって頷いた。
「…飲食店」
「へぇ… 調理?」
「うん」
「何屋?」
「諸国空想居酒屋… 世界各国の色んな料理」
「へぇ… おもしろいね。 穂波が喜びそう」
「うん」
福永は芸人の養成所?みたいなとこに行くんだって。バイトしながら。
よくわかんないけど、福永が福永のままいてくれたらいい。
「鉄くん、これで何か食べるもの買って。あとガソリン代も」
「…あー、おばちゃん、そういうのは俺じゃなくて……」
「研磨、受け取ってくれないから。
この間やっと、テレビと冷蔵庫買わせてくれたのよ、いきなり大人ぶっちゃっていやになる」
「…笑 大人ぶってるわけじゃねーと思うけど」
「…母さん」
「もーいいから、鉄くんはい!」
「いいよ、おれ受け取る。 ご飯代とガソリン代?」
「………そう、だけど」
「…ん。 ありがとね、いろいろ」
「…は?」
「今まで、ありがと。 …また来るし、家にも呼ぶけど」
「…そっ そうよ、なにいきなり言い出してんの!
穂波ちゃんがいる間は安心してられるけど、まだまだ… まだまだアンタも……」
「…え、なんでいきなり怒ってるの」
よくわかんないけど。
母さんがいきなり怒ってそれから泣き出した。
前もこんなのあったな。
お礼言ったら、怒られることがある。