第33章 たった一つの揺らぐ事のない
もっと 頼りにされたいと
願ってしまって居て
そうされたいと 欲張りたくもなる
「見たい…と、言ってもいいのか?
君のその弱い部分を…、
俺に見せて欲しいと
言ってもいいのだろうか?」
ボスンと音を立てて
あげはが杏寿郎の胸に飛び込んで来て
「…ーーーだけですから」
「あげは、
すまないが聞き漏らしてしまった。
もう一度……
言ってはもらえないだろうか?」
そう 少々上ずった声で
杏寿郎が言って来たので
きっと さっき言った方も
ちゃんと杏寿郎の
耳には入っていたんだろうけど
きっと 彼がそう言ってきたのは
聞きたい…と思っている
そんな気持ちの表れなのだろうから…
「…っ、だ、だから…
私がこんな姿を見せるのも
杏寿郎にだけですからって
言ったんですっ!!
あぁん、もう、
これでいいんですか?満足なんですか?」
「いや、……まだ、
満足…できそうにないが…?
あげは、もっと。
そんな…自棄になったような
言い方じゃない言い方で、
言っては貰えないだろうか?」
投げやりになったような
そんな言い方でなく
それを言って欲しいと促されて
でも あんな感じじゃない言い方…なんて
到底……素直じゃない表現しか出来ない
私には…っ 出来なくて……
ちゃんと言わなくちゃって
伝えなくちゃってそう…思うのに
自分でも驚く程に 可愛げのない様な
言い方しか……できないで……
「…ぅ、…あの……
杏寿郎、どうしても…ですか?」
「君に頼りにされているのだと、
感じたいのだが…?」
言葉を促すようにして
杏寿郎の指先があげはの
ぷっくりとした唇をなぞって行く
「君の言葉を……、欲張りたい。
俺の願いを…、
叶えてくれまいか?あげは。
君からの…、言葉が…欲しいのだが…?」