第33章 たった一つの揺らぐ事のない
「あげは……。明日…
悲鳴嶼さんの所へ行くぞ。
悲鳴嶼さんなら、その辺りの事情も、
何かしら知ってるだろうからな」
「あの、杏寿郎っ…。
その事についてなのですが。
悲鳴嶼さんにでしたら
明日…お時間を頂く話を…、
その、付けて…ありまして。
あの…私も彼の事で、
悲鳴嶼さんと話をしたくありまして…。
先ほど、環が悲鳴嶼さんからの
お返事を持って来てくれたので」
正直 驚いていた
俺が彼についてを悲鳴嶼さんから
聞きたいと思っていた時に
彼女もまた俺と同じ事を考えていて
そしてすでに
その算段を付けてくれていて
動いてくれていたのか……
「すいません……、差し出た真似で
あったでしょうか?
その、杏寿郎に何も告げずに
勝手な事を……」
「俺に何も告げずにそれを、
していた事か?差し出た
真似でもあるまい。あげは。
君にとって
重要な事に違いないからな。
当然だろう?だが…君には……
辛い話になると…、思うが……。
それでも、いいのか…?」
「悲鳴嶼さんは、
彼と…、透真さんと
かなり親しい間柄でしたので……。
何か、彼について……
ご存じなのではないかと」
「あげは」
「はい?どうしましたか?杏寿郎」
腕組みをしたままで
杏寿郎がつまらなさそうな顔をすると
「君は少々、…強すぎる所があるな。
俺は男として
形無しになってしまいそうだが。
俺をもう少し、
頼ってはくれまいか?あげは」
「いえっ、その…あの、杏寿郎……」
「俺は…、君を守りたいし、
助けになりたいとそう思ってるのだが?
俺は頼りにされたいと
そう感じてるのに、
一人で先に進もうとするのは
良くないと思うがな?」
「すいません……、杏寿郎」
「謝る必要はない。だが、君が先に、
行動を起こしてくれていたお陰で
明日、悲鳴嶼さんと話が出来る。
俺としては、正直複雑でもあるが……。
俺は男として、そんなに頼りないか?」