第21章 その鏡に映るのは ※R-18
「あの、杏寿郎?座るって……」
「そこだが?」
と言って杏寿郎が
私の後ろにある鏡台を指して
いやそこはさっき座ってた
「いや、そこから立たせたじゃないですか」
「だから、椅子じゃなくてそっちだが」
「は?え?そっち……」
どうやら彼は 私に
鏡台の天板に座れと言っていた様で
何が何なのか分からないが
座る所じゃないような気がするけど
天板の上だし?
その期待に満ちた
熱い視線を向けらえては
座りませんとは言えず
あげはが後方を確認しながら
鏡台の上に座って
杏寿郎の方を見て
「これで…いいの?」
と確認すると
支度が済んだからなのか
室内の灯りを落とされてしまって
薄ら明かりのみになっていて
「ああ、それでいい」
と返事が返ってきた
明かりを落としに
行燈の前にいた
杏寿郎がこちらへ来て
あげはの前に片膝をついて
かしずいたので
「?」
一体どうするつもりなのだろうか
不安そうな面持ちであげはが
杏寿郎の顔を見ていた
「前々から思っていたが……、
君は確かに上背があるが。同じ身長の者より
君は脚が長いんじゃないか?」
「脚……ですか?
それは偶に言われますが……」
そっと触れるか触れないか位の
強さで開いた指の 指先の腹だけが
触れる様な強さでつぅーーーと
くるぶしの辺りから膝の方へと
撫で上げられると
ざわざわとした 心地のいい痺れが
触れられた部分から広がって行く
「足を組んでくれないか?」
と促されて 良く分からないままに
促されるままに足を組むと
組んで上になった
あげはの右足の先を手に取って
その足の甲に恭しく口付けを落とした
あげはがそれに身体をビクッと
小さく跳ねさせる
「きょ、杏寿郎っ、あのっ……」
「せっかく、まだこんな時間なんだ……。
ゆっくりと今夜は君を堪能しようと思ってな?」
確かにまだ
大人の時間にもなってないような
子供が寝るか寝ないか位の時間だ
「そ、それは…頭の先から
足の先まで……って事ですか?」