第21章 その鏡に映るのは ※R-18
そのまま彼に手を引かれて
風呂場まで誘導されると
脱衣所に入って
ある事に気が付いた
湯が張ってあるのは分かる
夕食始まったころから沸かせば
丁度いいくらいになるだろうし
ちゃんと 体を拭く為の大きめの
手拭いと
それに きちんと畳まれた
着替えが用意してあって
それに 新しい新品の下着も…
「随分と、教育が細かな所まで
行き届いた使用人さん達ですね」
「そうか?普段はこんな事はしないがな」
そう言って杏寿郎が
ははははははと豪快に笑った
あげはが自分の着物の帯を解こうとしたのを
杏寿郎の手に止められる
「あげは、それはダメだ」
「え、でも。お風呂に入るのでしょう?
自分で脱げますよ?」
杏寿郎の手を除けさせようとすると
力を入れられてしまってびくりとも動かない
「女性が、自分から脱ぐのは良くない。
まして。君の様な、いい女……ならば、な?
尚更にだ。それに、俺が
脱がせたいからな…。あげは」
すぐ目の前に熱を帯びた目をした
杏寿郎の顔があって
鼻と鼻が掠める距離で
お互いの視線を絡め合う
その赤い瞳に見つめられると
その瞳の中に
同じ様に熱を帯びた目をしている
自分の顔が映っていて……
私 いやらしい顔してるとか
そんな事をそれを見て
ぼんやりとした頭で考えながら
更に近づいた顔に
瞼を閉じると
唇が重ねられて
何度も角度を変えながら
口付けを繰り返していると
シュルリと着物の帯を解かれて
ストンと帯が床に落ちた
そのまま杏寿郎の手が
私の襦袢の紐を解いて
あげはがその手を
制止させる様にして止めると
「私ばかり…、脱がせすぎですよ?杏寿郎」
「そう言うが、君もいつ俺の帯を解いた?」
空いていた手でもう杏寿郎の
帯を解いていたので
そう聞き返されてしまった
「さあ?杏寿郎が、私の襦袢の紐を
解いている間じゃないですか?」
「そうか、俺が君を脱がすのに
夢中になっている間にか……、
っと、ちょっと待ってくれないか?」
「え?どうしてですか?
全部脱がないと入れませんよ?」
「流石に、そこまで君の手を
煩わせる事は無い!自分で脱げるからな、
褌は…自分で脱ぐ」
「あら、遠慮しなくていいですよ?
いいじゃないですか、偶には……」