第19章 心 向き合う ※R-18
「杏寿郎……」
「触れるだけの口付けだけじゃ
……物足りないか?」
杏寿郎の言葉に
あげはが小さく頷いたのに
気が付いて ふっと笑みを漏らした
「君は……やはり可愛いな、
いじらしいが過ぎる」
「だ、だから、……可愛いはっ」
もういつも言われてるから
言わなくていいと言いたげに
あげはが言って来たので
「だが……、俺の勘違いでないのなら、
君の口から俺が欲しいと…
言って貰いたい所だがな?」
それは……あの夜の様にって事?
でも そう言って来るって事は…
今 私が そうしたいと思ってるって
杏寿郎には 分かってるって事で
「……杏寿郎の所為です」
「俺の所為…?何がだ?」
「杏寿郎が……、あんな風にするからぁ、
……だから、その、こんな風になるんですっ!」
頭の記憶の中にも 何度も愛された記憶と
身体にも 何度も 彼に愛された記憶があって
もう そうされてないと
落ち着かなく なっちゃったみたいに……
そわそわとしてしまう
「それでは、……もっと違う言い方を、
俺は期待しているが?
俺に……どうされたいんだ?
あげは……。言ってはくれまいか?」
耳元で名前を甘い声で呼ばれて
どうされたいのかと
問いかけられてしまっては
そうされる事への期待しかなくて
「杏寿郎に……抱いて欲しい」
自分でも驚くほどに
すんなりとその言葉が出て来て
「一度だけ……
では、済まないが?いいのか?」
「…………それでもいいから」
布団の上に体を倒されて
上から彼に見下ろされる
「いいんだな?あげは……」
いいんだなと確認は取って来てるけど
もう 普段の杏寿郎の顔じゃないのは
見ていると分かるし
ああいう事をする時の顔してるのに……
コクリと頷いたのを確認すると
唇を塞いでそのまま着物の帯を
スルスルと解いた
口の中に舌を滑り込まされて
口の中を舌でまさぐられる
「ふっ…、んんっ、はぁ、…ん、ん…」
開いた着物の合わせから
スルリと杏寿郎の手が滑り込んでいて
お腹に当てられたかと思うと
そのまま脇腹に添えられて
いつもとは逆に撫で上げられて