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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第16章 理由 前編


気が付いたら
私の体は蜜璃ちゃんにギュッと
抱きしめられていて

「み、蜜璃ちゃん?どうしたの?」

「いいんだよ、あげはちゃん。
平気な振りしなくていいのっ」

平気な振り?
私が平気な振りをしてるって事

「え?私は別に平気な振りなんか……」

ギュウっと蜜璃があげはを抱きしめる
腕に力を込める

「いいの!いいのよ…。
我慢しなくても…いいの」

「蜜璃ちゃん…、でも…」


それを 言ってしまったら

我慢するのを 止めてしまったら


私はきっと 迷ってしまう

彼と戦えなくなってしまう


「教えて、煉獄さんには…、
あげはちゃんの気持ち、ちゃんと話したの?」

目の前にあるあげはの顔を
蜜璃がじっと見つめる

その顔を見たら
それをしていないのが分かった


「煉獄さんも、
きっと聞きたいって思ってるはずよ…」

「でもっ…」


蜜璃ちゃんの言う事の意味は分かる

ちゃんと話さないと
いけないんだとも

分かるけど…


「あげはちゃんは、優しいから……、
それで煉獄さんを苦しめたり、
悲しませたり、嫌な思いを
させちゃうんじゃないかって迷ってるから。
言いだせないんだって。私には分かるけど」

「蜜璃ちゃん…でもっ」

「でも、後悔するんじゃないかしら?
このまま、ちゃんとお話しないままで居るのは」

「でも、話してもきっと話さなくても、
後悔すると…思うんだけど」


きっと 私のする話は

私が彼に感じている感情は

杏寿郎さんからすれば
聞いて気分のいい話ではなくて

私は このまま

話さないで済むのであれば

何も言わないつもりでいた

そのまま 何も言わずに


彼が 何も聞かないから

それを 理由にして


言わないままでいるつもりでいた

「でも、煉獄さんの事好きなんだったら、
それこそ、ちゃんと、お話するべきだと思うの…」


蜜璃ちゃんの言う通りだ

私は 逃げてただけだ

彼の気持ちにちゃんと向かい合う事から

何よりも

自分の中にある
その気持ちから目を逸らしてたんだ


ずっと

そうして 逃げて来ただけだ


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