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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第15章 それぞれの いとま




「煉獄」
と宇髄が杏寿郎を呼んで

「どうした?」
と杏寿郎が返した


宇髄と杏寿郎の視線がぶつかる


「殴れ。俺を」

「いいのか?殴るぞ?」


丁度 さっきから
宇髄を殴ってやりたいと思っていた所だ


「ああ。殴れ、お前にはその権利があるからな」

「なら、歯を食いしばっておけ」


そう杏寿郎が言い放って

宇髄の希望通りに殴った


「…ってぇ、お前、本気で殴り過ぎっ」


殴られた頬を押さえながら
宇髄が不満げに漏らした


「殴れと言ったのは、君の筈だが……、
だったら君も殴るといい」

「はぁ?俺が、お前を?何で……?」

俺には煉獄に殴られるだけの理由があるが
煉獄が俺を殴れと言う理由がわからない

静かにこちらを見据える
杏寿郎の目から自分の目を逸らせなくて


「君には俺を殴る理由がないのは分かるが、
理由があるとするならば、俺が不甲斐ないからだ」

そうその視線と同じくらいに
静かに杏寿郎が言い放って

ああ と宇随には納得が行ったので

「そうかよ、だったら、殴るわ。
……お前の事っをなっ!」

と杏寿郎の望み通りに
宇随が杏寿郎を殴り返した

「宇随、君はちょっとは、
遠慮したらどうだ?痛かったんだが?」

殴られて腫れた頬を杏寿郎が押さえながら
恨めしそうに宇随に言った


それから
どちらから共なく
声を漏らして笑って


「は、はは、あはははっ」
「ふっ、はは、はははははっ」


お互いの拳をコツンと合わせた


「宇随、気が済んだか?」

「ああ、サンキューな。煉獄」



俺に背中を向けて
小さく手を振った宇随の
後ろ姿を
杏寿郎は何も言わずに見送った


後 2日して……

あげはが戻って来た時


俺は どんな顔をして

あげはに会えばいいのか?

そんな事を考えていた


仮に彼女に本心を問い正したとして


俺は彼女がそれを迷っている

と言ったら


俺は…どうするのかと


問い正す事すらも

するべきではないとさえ


そう思えてしまって…

彼女の心はきっと 今も…彼に…

あの刀鍛冶の里で
彼の刀を大事そうに抱いて
愛おしそうに撫でていた

その時の 彼女の顔を

俺は思い出してしまっていた

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