第15章 それぞれの いとま
「本当のアイツは、そんなんじゃねぇよ。
少なくとも、俺の知ってる三上透真は、
そんな奴じゃなかった」
宇髄は……もしかすると
親しかったのか?彼と
「虫の一匹も殺せないような、そんな奴だった、
普段はな。でも、剣を持たせれば、一変する
恐ろしい剣士だったが。アイツは日向みたいな
奴でさ、気が付いたら猫とか犬とか
沢山集まって来てて、人も沢山集まって来てた……」
宇髄の話す言葉に
違和感を覚えた
俺が知っている
三上 透真とは
大凡
宇髄の言う人物は当てはまらない
俺が あの
刀鍛冶の里で言葉を交わした
あの男は三上透真ではないと言うのか?
「いっつも、へらへらと穏やかな笑顔で
笑ってる奴だった。ホントにコイツが鬼の頸
狩れるのかって、思ったもんだ。
アイツとは何度か、手合わせして貰ったが、
勝てた試しがなかった。
ちょっと忍びのズルい、手を使ってもな。
勝てなかった。本当に、才能のある、
天才ってやつが居るんだなって」
そう言って
宇髄はその時を思い出しているのか
笑っていた
そして俺の顔を見て真顔に戻ると
「その顔は、…何にも聞いてない顔だな」
腹立たしい程に
こう言う時の宇髄は鋭すぎる位に
鋭い
「宇髄、君の指摘通りだ。俺の知っている彼と
君の話の彼は、別人のように感じるのだが?
彼は、いい人の演技でもしてたと言う事か?」
「俺は、演技だとは思っちゃいねぇよ。
アイツとは……親友だったからな。
自分のダチが、どんな人間か位、
俺だって知ってる」
演技ではないとすると仮定するのであれば
彼は……
三上 透真は
「お前、前に俺と
洋食屋行った時の話、覚えてるか?」
「まだ、あれから
ひと月も経たないんだ。覚えてるに決まっている!」
「お前はさ、何で俺が、アイツを、
あげはを自分の嫁にしようとしてるか
って俺に聞いただろ?」
あの時の宇髄の言葉が
全て本心でないのであれば
きっとこれから宇髄が言う事が
”本心”であり ”真実”だと言う事になる
「俺は頼まれたんだよ、アイツ本人に、
あげはを頼むって……」