• テキストサイズ

その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第10章 追憶 煉獄家にて


「でも、それなら…もう」

鼻や額 手や傷跡にも
口付けをされた記憶がある
それなのにわざわざ
提示する必要があるのだろうか?

「例えば…、手や髪…」
「ああ、それなら」

された事もあるし抵抗もないようで

杏寿郎があげはの手を恭しく取ると
手の甲に唇を落とした
そのまま指先まで下って
手の甲を返して手の平にそして
そのまま手首へと上がって行く

頭皮の匂いを嗅がれてる気もするが
頭にも口付けをされて
艶やかな髪を掬い上げると口付けた

「大丈夫…そうか?」
「ええ、大丈夫ですよ」

変だな?いつもこれくらいしてるのにな…
なんで確認されたのか
あげはが考えていると
顎をクイっと引かれて唇を塞がれた

ついっ と指を髪の間から滑り込ませて
杏寿郎の指先があげはの耳の形をなぞった
口付けの合間に口を離すと
「では…耳は?」
と耳元で確認するように囁かれる

その声色に 背中がゾクゾクと泡立ち
あげはが囁かれた側の左耳を押さえた
耳の中に変な感覚が
まだ残ってる…みたいに感じる

空いている方の右の耳に杏寿郎が触れながら


「もしや…と思って尋ねるのだが、君は
少しばかり、右の耳が聞こえ…辛いのか?」


右の耳が聞こえにくいのかと
杏寿郎に指摘されてあげはは驚いた
確かにそうだが

少しばかり聞き取りにくいだけで
聞こえるには聞こえるし
誰も指摘しなかったし
聴力検査をしても引っかかる程でもない

「少しばかり…ですが、
聞こえない…訳でもないですし、
良く…お気づきになりましたね…」
と俺がその事に気がついた事に
驚いている様だったが

俺が感ずいて聞いているのは
そうでは なくて…

「…あの時の、…後遺症…か?」
「お察しの…通りです…」

右の耳に掛かっている髪を掬い上げて
右耳を注意深く見てみるも
傷跡がある訳でもない

だが あの日の傷跡は…彼女の
もっと深い所に
きっと今も…色濃く残っているに違いない

何も言わないまま
杏寿郎が私の胸に顔を押し当てて来たので
あげはは少しばかり驚いたが 

「杏寿郎…さん?」

「この奥にある…、
君の傷に口付けられないのが…口惜しいが…」

/ 1961ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp