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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第2章 私は彼を知らない


杏寿郎の指摘を受けて
むすっとして不機嫌そうな表情を
していたかと思うと

うーんと何かを考え込んで 
はぁーっとため息をついた
コロコロと表情を変える様は 
見ていて飽きないし
面白いとさえ思ってしまった

「うーん、でも、まぁ、
助けてもらったには変わりないし?
お礼、言っとく。ありがと」
彼女は 案外 
さっぱりとした性分のようだ

カァー カァー 
鴉の鳴き声がして上を見やると
一羽の鴉が杏寿郎の肩に
降りてきて止まった
「カァー、炎柱ァ、
指令を伝えるー。カァー」


鎹鴉より指令を伝えられた俺は
現場に向かうべく
馬車に揺られていた
馬車の向かいの席を 
チラリと見ると
そこには窓の外を眺めている
あげはの姿があった

あの時 たまたま居合わせた彼女にまで
召集が掛けられてしまったのだ

「その、すまない。
君まで巻き込んでしまって」
「なんで、謝るの?
別に仕事なので、問題ないですし」

鬼殺隊の者は皆 それぞれに重く
悲しい過去を背負っている
愛する家族や恋人や妻を
鬼に殺された者がほどんどだ

その中で俺は 特殊な境遇であった
煉獄家は代々に渡って
鬼殺隊の結成当初から
炎柱としての務めを果たして来たし
それを誇りにして来た
俺自身も幼少期より 鍛錬を重ねて
今 炎柱を務めている

ー柱ー 鬼殺隊の中でも
最高位に立つ 剣士
数百名いると言う 隊士の中で
たった9名のみが
名乗る事を許される 称号

彼女は 俺の父上と同じ…
元・柱 
しかし 彼女は五体満足の上に
年齢的にも柱としての務めに
耐えうる年齢だ
柱を引退するには 早すぎる
何故 彼女は…柱ではなくなったのか?

以前 お館様と話をした折に
彼女は柱を辞した後にも …4年の間に
柱になる条件を幾度となく
満たしていると聞いた

そのつもりがあるのなら
…時透や 甘露寺が柱となる前に
空席はあったのだ
柱に戻る事も出来ただろう

それは即ち
彼女が柱に戻るつもりがないと言うこと

「あの…」
何かに耐え切れない様子で
あげはが声を掛けて来た
「ん?どうかしたか?」
「穴が、空きます」「穴?」
「そんなに見られると、
穴が空いてしまいそうで…」

「あ、…ああ、すまない…、
聞いても構わないだろうか?」
「何をですか?」

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