第67章 春日の決意とカナエの配慮
あげはのその言葉に
前に屋敷を訪れていた甘露寺の姿を
春日が自分の頭に思い描いていて
あの 甘露寺様の隊服をあげは様が?
お召しになられ…る?
「ああっ、あの様なあられもないお姿を
あげは様がなさっておられましては。
絶対にッ、炎柱様のお仕事の方がですね、
おろそかになってしまいますッ!」
「え?杏寿郎さんが…にありますか?
あの時はとても、似合っていると
言って頂いた様に記憶しておりますが」
「しかっ、しかし…、あの様に
露わにされておられましたら、
たわわなお胸が零れ落ちてしまわないかと。
春日はハラハラしてしまいそうにありますがッ」
その春日の言葉に
あげはがハッとして
自分の脳内の蜜璃の隊服と
春日の脳内の蜜璃の隊服が
別のイメージになっているのだと気が付いた
「ああ、えっと、私が着たのは。
あの長さの丈の、前が閉まる物でしたので。
スカートの下にはタイツも履いておりましたので。
足も晒してはおりませんでしたから」
「ですが、あげは様が
お持ちになって在られます
あの、押し入れの中にありました、
隊服は甘露寺様の着用されておられるのと
同じ形にある様にありましたが?」
「ああっ、あれっ、
えっと、あ、あれは…ッ、その…。
蜜璃ちゃんから
縫製係が生地の色を間違えて、
仕立ててしまった物を譲って貰ったので」
「ですが、他の隊服とは
別の場所に保管されておりましたので、
皺になってもと思いまして。
勝手ながらに、他の隊服と一緒に
えもん掛けに掛けて並べて置きましたよ?
虫が食ったり、カビが生えてもなりませんので」
杏寿郎の目につかない所に隠してたアレを
春日さんが皺になったらダメだからって
外に出して掛けてるって事?
え?どうしよう?
見つかってないといいんだけどな
「あの、なりませんでしたでしょうか?」
「いっ、いえ、そんな事はありませんので」