第63章 結納編 昼
じっとりとした視線を向けられながら
あげはの金銭の感覚と胡蝶のそれは似てると
杏寿郎は感じながらに300万円の入った
桐の箱から200万を抜いて100万にすると
改めてそれをしのぶに手渡す
「……これで、いいのか?胡蝶」
ニッコリと満足そうにしのぶが微笑んで
杏寿郎からそれを受け取ると
「ええ。煉獄さんが
私の話を聞いて下さって助かりました。
ではこちらからの、
お返しをお受け取り頂いても?」
そう言ってしのぶからそれなりに厚みのある
祝儀袋を無理やり受け取らされる
逆らうのは許されてないのだと
それは杏寿郎にも分かって居て
「では、こちらは今日の昼食代だとでも
思って頂いて結構ですので。
あげはさんは
もういい年齢ですので、
こちらも片付いて安心しました」
「その割には、俺の記憶が確かなら
割と敵意剥き出しの
態度じゃなかったか?胡蝶」
俺が蝶屋敷であげはに求婚した時に
嫌味を言われた様な気がするのは
俺の記憶違いでもあるまい
「そっ、それは、事情が事情でしたから。
私だってその、煉獄さんを
試す様な事をしてしまったのは
今となっては悪かったとは思っては居るんです。
煉獄さん、あげはさんをお願いしますね?」
「あげはの妹は、心配性だな。
胡蝶、あげはの事なら俺に任せてくれ!」
「では、私はあちらに戻りますが。
あげはさんをこちらにお呼びしますか?」
「いや、いい。
この話は、もう俺と君とで済んだからな。
胡蝶、君も食事を楽しんでくれ!」
そう言ってははははと杏寿郎が笑って
ではご遠慮なくとしのぶが小さく会釈した
茶わん蒸しを食べ終わる頃に
杏寿郎としのぶが戻って来て
伊之助が茶わん蒸しをもっと食べたいと言ったから
追加の茶わん蒸しを目の前に5つ並べて貰って
嬉しそうに食べているのを
炭治郎とアオイが両サイドから見守って居て
少し離れた位置からカナヲが
その炭治郎の様子を目を細めて眺めていた
カナヲ…嬉しそうな顔…してるな
炭治郎君が居るから…だな
あげはがそのカナヲの様子を
嬉しそうな顔をして見ているのに気付いて
杏寿郎が声を掛けて来る