第62章 結納編 朝
「んーー?それね。まぁ、俺もさ?
透真のやつにアイツを…、
あげはの事、託されちゃってたじゃん。
お前じゃなかったら、
アイツは今もうじうじしたまんまで
何にも変わって無かったかも知れねえからな。
アイツがあのまま、ずーっと腐ってるなら
俺の嫁にしてもいいかともさ
思ってたんだわ、俺はな」
宇髄のその言葉からも
託された側として宇髄は宇髄なりに
あげはの事を考えて見守ってくれていて
その上でのあの時のあげはに対する
求婚だったのかと
こうして話を聞けば 全てに納得がつくのだが
「まぁ、お前があげはの事、
面倒見るって言うんだったら、話は別な。
好きでも何でもねぇ、
男の嫁になってもしゃーねぇもんよ。
けど、アイツが透真以外の誰かを
好きなれんのかとか、愛せるのかって
ずっと俺も疑問だったんだわ。
俺が嫁になれ嫁になれって言いすぎて。
他に男作ったりもしてたけど、
透真と居る時と同じじゃないって事位は
あげは本人も気付いてただろうしな」
宇髄の赤い瞳が杏寿郎の姿を映して居て
「だから、お前には謝りてぇとは思ってたの。
俺や不死川がアイツを変に弄ったせいで。
その…、お前にはさ、悪い事したとは思ってんの。
アイツがそうしたのも、俺の所為でもあるんだわ」
そう申し訳なさそうに宇髄が謝って来て
あげはが過去に交際した男性の話を
宇髄は言いたいのだろうが
自分が求婚をしたせいで
あげはにそんな行動を取らせた事を
俺に対して申し訳ないと思って居るのだろうが
生憎に あげは本人の口から
宇髄や不死川を巻き込みたくないと言う
理由についても俺は知っているのだから
今更にそれを俺は
誰の所為だと言うつもりも無ければ
目の前の宇髄を責めるつもりも
その当時のあげはの
行動を責めるつもりも毛頭ない
実際問題に俺も
何度も彼女に求婚を断わられて来たし
俺自身も 宇髄と同じで
その危険から遠ざけさせたいと言う
彼女の行動の理由も知って居たのだから