第61章 蜂蜜と房中術 ※Rー18
いや 待て…
彼等はその状態に近いのか
お互いがお互いの記憶に干渉するのだから
お互いの脳の内部に入り来む事が出来るのか
そう杏寿郎が考えている様に
彼と彼は 元から一つの体なのだから
常に 体交術状態って事になるって意味?
でも 可能性としてあるのかな?
そうあげはも考えていて
お互いの意思同士に干渉しあってるなら
「あげは。君なら、
彼の意識の中に入れるかもな?
幸か不幸か、彼等は君に夢中だ。
だが、自らの意識を送るのは危険だ。
最悪、その身体に君の意識まで
囚われる危険性も大きい」
「でも懐に潜り込まれるよりも
相手の陽動にはなりそうですが…。
危険すぎると言いたいのでありましょう?」
「俺はまだ、何も言ってないぞ?」
と話していて ふと気が付いた
相手の考えが分かってる?
「この状態がそうなのかもな?」
「しかし、今は無意識にあります」
「肉欲から離れ、それから…
相手を敬い、父母の如く向き合えと」
肉欲と言う言葉を聞いて
ついついに昼間の蕎麦屋での
杏寿郎との情事を思い出してしまう
「あげは、昼間の事を…」
「…ーーッ、杏寿郎、
わ、私の心を読んだのにありますか?」
驚きを隠せない様子で
動揺しながらあげはが尋ねて来て
「いや、俺も今、君と
同じ事を考えて居たからな…。
神交法の鍛錬も一区切り付いたんだ。
今度は、神交法だけでなくて
体交法の方も鍛錬もしておくか?」
単にお互いの感情や
本能に任せる行為ではなくて
お互いを敬い慈しみ 快感よりも
気を巡らせるのを重視する…
体交法での気の交換を 鍛錬しないかと
持ちかけられてしまって
あげはが姿勢を正して
きっちりと座り直すと
自分の膝の上でギュっと手を握った
「よろしく、お願い致します。杏寿郎」
そうして正座をしている
あげはを見ていると
まるで彼女が自分の継子にでも
なったかの様にも見えるし
初夜の床入りの様にも見える…