第57章 焦れる焦燥 ※Rー18
そう 意識してしまえば
更に 自分の背筋がぞくっと
身震いにも似た 震えを起こす
「この数日間…、ずっと食べてないんだ、
少々、我慢も出来なくもなる。
今すぐに、君を食いたい…と言えば?」
ギュッと重ねた手で手を握られてしまって
「そっ、それは…、私の所為では…。
それが、正常にありますので…っ、
食べないと、
死ぬみたいな言い方をなさらずとも」
そんな言い方をされてしまっては
まるで こちらが彼をお預けにさせて
飢えるだけに飢えさせて居たかの様だ
食べてないと そう彼は言うが
昨日だって その前だって
行為の紛い事…は してるんだし
「だが、死にそう…な位な
飢えなら感じてるがな?
悪いが、あげは。時間切れだ。
俺は君を今すぐに食いたいし、
自分の腹を満たしたい」
スッと杏寿郎が立ち上がると
机のこちら側へ移動して来て
「あっ、あの…、杏寿郎。
こちら側に来て頂かずまでとも、
私がそちら側に、参りますのでっ…」
そのこちら側に来ようとしていた
杏寿郎の身体をグイっと
自分の両手で押し返そうとした
その手の手首を掴まれてしまって
ギュッと手首を握りしめられて
杏寿郎の身体に引き寄せられてしまう
「あ、あの…杏寿郎?」
髪を纏めていた蝶の飾りを外されて
それをコトンと机の上に置かれると
纏め上げていた髪が崩れて広がる
「あげは…、抱きたい。
今すぐ、君を、抱きたいんだが?」
ギュッと抱きしめられて
そう熱の込もった声で余裕も無しに
耳元で囁かれてしまって
彼の言葉に返事をすぐに返せずに居て
ソワソワと落ち着かない焦燥感が
自分の中で生まれるのを感じる
杏寿郎の舌が
あげはの耳の縁をなぞって行く
「んぅ…はぁ、杏寿郎、あの、
お待ちになって…、んっ、やっ…」
自分の身体を引いて逃れようとするのを
手首を掴んでいる手で
逆に引き寄せられてしまって
彼のする事から 逃しては貰えず
「まだ、俺に待てと、
君は言うつもりなのか?あげは」
「んんっ、ふっ、はぁ、…ぅ、んぁ」