第55章 再びましての煉獄家
「ふん、構わん。
放っておけ、あげは。
杏寿郎も、千寿郎も
お前の隣に座りたいから
そうなってるだけだろうからな」
そう言えば 両サイドから
杏寿郎と千寿郎に挟まれて
正面には槇寿郎が居るのだから
完全に包囲されてる……?
「…丁度いい機会だ。。
幾つか、俺からお前等二人に、
確認して話して置きたい事があってな。
まずは、そうだな…。あげは。
もう、お前は杏寿郎の子を
身籠ってしまってるのか?」
身籠ってしまって居るのかと言う
単刀直入すぎる槇寿郎の質問に
ぶっと自分の右隣から
お茶を杏寿郎が盛大に噴き出して居る
音が聞こえて来て
「えっ、あのっ、
槇寿郎様…今、その…ッ」
身籠っていると仰いましたかと
問い返そうとして 言葉が出なかった
「あっ、兄上。大丈夫ですか?
宜しければこれを、お使い下さい」
「ごほっ、ごほっ、す、すまない…。
千寿郎、使わせて貰おう」
そう千寿郎が
お手拭きを杏寿郎に手渡して
杏寿郎が口元の辺りをそれで拭うと
「杏寿郎。せっかちな
お前のその性分の事だ、
子供は多い方がいいやら、
やれ早い方がいいやらなんやらと言って、
あげはを困らせてるんじゃないかとな。
俺が勝手にそう思って居ただけだが……」
そこまで槇寿郎が言って一旦区切ると
ふぅーっと細く息を吐き出して
お茶の湯飲みを手に持ってグイっと飲んだ
あげはが右隣の杏寿郎の顔を見ると
どうしてわかるんだとでも言いたげな
顔をしてるのが見えて
その杏寿郎の様子を確かめる事もせずに
槇寿郎が言葉を続ける
「少なくても…、
もう出来てしまっているなら
どうにも文句の付けようもないが。
まだなのならせめて、
最低でも祝言が終わるまでは待てと。
俺はお前等にいや、お前に言いたくてな」
2人に言う様に言い出して
杏寿郎に対して強調する様な
そんな言い方に言い直して来て
「しかしながらに、父上。
その…、お言葉ではありますが。
俺は…自分が……っ」