第53章 期待の募る夜には…　R-１５

口付けの予感を感じ取って
あげはが瞼を閉じると　ちぅっと
閉じていた瞼に口付けが落ちて来て

そのまま　目尻　こめかみ
頬へと杏寿郎に口付けを落とされる

スルッと片手の指と指を絡めて
そのままギュッと握り込まれると

唇を彼の唇で塞がれてしまって

角度を変えながら押し付けられる唇に


もっと…彼を感じたい
と思って　求めたくなる


「んっ…、ふ、……はぁ、杏寿郎…」

「…んッ、あげは……ッ」


唇で唇を挟まれて　軽く吸われる

ピリッとしたような痺れが
唇に走るのを感じる

「んっ、…はぁ、杏寿郎…ッ。
その、そろそろ…、杏寿郎も。
お風呂…に、お入りになられませんか？
続きは…、お風呂から
お戻りになられてからでも…」

このまま　なし崩しになってしまいそうな

そんな気がして　杏寿郎に声を掛けた

「そうだな…、いい加減に俺も
風呂に行かなければ…な」

自分の風呂なのにどこか他人事の様に
杏寿郎がどっちつかずな返事を返して来て

そのまま　耳の縁にも口付けられて
時折舌を這わされる

舌先で耳たぶを弄ばれて
唇で挟まれて食まれる

「あっ、あの…んっ、杏寿郎…、
そのッ、続きは…後でッ…」

チュウッと左側の首筋に舌を這わされて
思わず身体を硬くしてしまった


「んっ…」


「今夜は…、２人だけなんだ。
少々大きな声が出てもいいはずだが？
どうして、抑えようとしてるんだ？
君は…、あげは。聞きたい…。
君のその、可愛らしい声を…俺に
聞かせてはくれまいか？」


ああは　約束させたにはさせたが…

どうにも俺と言う人間は

あげはが絡むと　
狭量な男に成り下がってしまうな


いつか…　ではなくて


すぐにでも　と
そう言い出してしまいそうだ


スルッと杏寿郎の手が
あげはの喉を撫でて来て


あまり　撫でられたりしない場所だったから


あげははその杏寿郎の行動に
戸惑いを感じてしまっていた