第46章 蝶の憂いと私刑執行?
その動きは ゆっくりなのに
掴み所がない
捉えた…と言う 手応えのない
ひらり ひらり と躱される
感覚が 降りぬいた木刀から腕に伝わる
「クソッ、相変わらず、
酔いそうな動きしやがるな」
「でも、当たらなかったら意味ないよ?
不死川君、そうでしょ?」
ふふふと背後からあげはの声が聞こえて
コイツ…いつの間に後ろ回りやがったッ
そうか…ッ
鏡か?あの鏡に自分の影を映して
こっちを奔走してしやがったのか…?
前まで そんな
使い方してなかっただろうがよォ 鏡ィ
憎たらしい真似しがってェ コイツ…
「私ね、思ったの…
鏡って姿を映す物でしょ?
だからね…相手の技をね
写し取るだけじゃないんじゃないかって」
声があちこちから聞こえやがる
どんなカラクリだ…?
「炎の呼吸…、壱ノ型改 不知火っ双!」
って何で煉獄の型 使って来るんだよ!
いや 前から使えてたか
てか 双ってなんだよ 双って
「ちっ、風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」
カァンっと乾いた音が響いて
不死川が振り下ろした木刀に
あげはの刀が止められていて
グッとその場であげはが回転すると
ふっと木刀に掛っていた力が抜けて
回転と共に二撃目の不知火を放った
「ああ、そうかよ、二連撃かよっ。
風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐」
下から上へと切り上げる斬撃と共に
その斬撃に風が纏わりついて渦となる
そのままその渦になった風の勢いに押されて
身体が弾き飛ばされそうになるのを
あげはが空中で木刀を構え直して
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりッ!」
ゴォオオオッ
生み出した炎の壁が
それを盾となって受け止めて
「風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐」
更に浮いているあげはに対しての
不死川の追撃が迫って来て
「スゥウウ…
水の呼吸、玖ノ型 水流飛沫・乱」
バシャ…バシャと
水の足場を渡って高所へと逃れながら
あげはが一気に
猛スピードで駆け上がって行く